記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/11/14 記事改定日: 2020/5/28
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
なんとなく胃の調子が悪いとき、考えられる病気のひとつとして、「びらん性胃炎」があります。今回の記事ではびらん性胃炎の原因や診断、治療法について紹介しますので、胃の不調がある人は参考にしてください。
びらん性胃炎は胃体部(胃の真ん中部分)にできることが多いです。
びらん性胃炎を内視鏡で確認すると
ことが確認できます。
びらん性胃炎には急性と慢性がありますが、急性ストレス性胃炎もびらん性胃炎の一種です。
びらん性胃炎は自覚症状として、消化不良や悪心・嘔吐などがみられることもあります。急性ストレス性胃炎は症状が重く、大出血が起こることもあります。
びらん性胃炎も他の胃炎と同様に、胃粘膜が刺激されることによって起こります。具体的な刺激の原因は以下のとおりです。
以上がおもな原因となっていますが、放射線、ウイルス感染(サイトメガロウイルスなど)、血管障害などが原因で引き起こされることもあります。
びらん性胃炎の発症には、消化管粘膜の血流が下がって胃粘膜の防御機能の低下が起こることも関係していると考えられています。
ピロリ菌は胃の内部に住み着き「ウクレアーゼ」という酵素を産生しますが、ウクレアーゼが胃内の尿素と反応すると胃の粘膜にダメージを与えるアンモニアに変化し、粘膜の一部が欠損したようなびらん性胃炎を引き起こすと考えられています。
また、ピロリ菌自体が産生する特殊なタンパク質も、胃の粘膜の表面を覆う細胞にダメージをあたえて穴を開けることがわかっていますし、ピロリ菌を退治しようとする白血球などの免疫細胞の働きが胃の粘膜に炎症が起こりやすくすることも、びらん性胃炎を発症する引き金となることがあります。
びらん性胃炎の診断は、口または鼻から内視鏡(胃カメラ)を挿入することで肉眼的に行われます。治療法は以下のとおりです。
内視鏡的止血術という方法で、直接止血します。
プロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬といった胃酸分泌を抑える薬や、胃粘膜を保護する薬などが処方されます。
アルコールなどの原因物質を除去して、安静に過ごすのが一般的です。また、下記のような消化のよい食事をとることも大切です。
以上のような食材を用るだけでなく、油を使わない、やわらかく煮込むなど調理法も工夫しましょう。塩分も胃に負担をかけるので、漬物も控えたほうがいいです。そのほか、香辛料やコーヒー、アルコールなどの嗜好品をよく摂取する人は、これを機に、食生活を見直しましょう。
びらん性胃炎は胃炎の中でも胃がんに進行する頻度は高くないと考えられています。しかし、なかには胃がんの初期にびらん病変を呈するものもあります。また、放置すると胃粘膜へのダメージが重症化して胃潰瘍に進行し、さらには胃の壁に穴が開く胃穿孔を生じることもあります。
長引く胃痛や胃もたれなどの症状がある場合は、軽く見ずに病院を受診して適切な検査・治療を受けるようにしましょう。
びらん性胃炎には急性と慢性のものがあり、タイプによってはあまり症状が出ないこともあります。症状がこれ以上進行しないように、早めに治療を開始することが大切です。胃の不調を感じている人は、まずは診察を受けるところから始めましょう。
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