滲出性中耳炎を完治させるための治療の注意点とは!?

2017/11/21 記事改定日: 2019/1/22
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

滲出性中耳炎とは中耳に膿が溜まってしまう中耳炎です。再発するケースも多く、治療が長期化しやすいといわれていますが、完治するにはどんなことに気をつければいいのでしょうか。
滲出性中耳炎を完治させるポイントについて解説しています。

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滲出性中耳炎は完治できる?

急性中耳炎は風邪などをきっかけに、上咽頭に感染したウイルスが耳の奥に感染して起こることが多いです。その後中耳粘膜の腫れにより浸出液が流れ続け、中耳腔に溜まると滲出性中耳炎となります。急性中耳炎も滲出性中耳炎も、どちらも子供がなりやすい病気であり、再発が多く、何度も治療を繰り返すことになるケースも少なくありません。

主症状として難聴が現れるため早めの治療が必要になりますが、適切な治療で完治が可能です。ただし、完治までに時間がかかることもあり、完治を待たずに治療を中止してしまうと癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎に発展してしまうこともあるので必ず最後まで治療を続けましょう。

滲出性中耳炎の治療法

滲出性中耳炎の治療は、鼻や喉の治療も同時進行させていかなければなりません。
これは中耳腔や鼓膜まで達するには、耳管など長い空間を通ってくるので、どこがひとつにでも問題があれば完治させることが難しいからです。

鼻や喉の治療は薬物治療と鼻水などの吸引や鼻腔内の清掃が中心になります。

耳の治療については、軽症のものは耳管通気(耳管に空気を送り込む治療)が行われる場合もありますが、基本的には鼓膜を切開して内耳に溜まった滲出液を排出する方法が選択されます。

滲出性中耳炎を繰り返す場合には切開した穴にチューブを通す手術(チューブ留置術)が行われることもあります。

チューブ留置術とは

鼓膜切開を行っても、中耳内の滲出液が完全に排出されない場合や、滲出性中耳炎を繰り返す場合に、チューブ留置術が行われることがあります。

チューブ留置術とは、中耳内に溜まった液体を常に排出できるように鼓膜に細いチューブを挿入する治療です。鼓膜切開は3~7日で自然に塞がってしまいますが、チューブは鼓膜の炎症や浸出液が消失するまで挿入したままの状態になるため、より高い治療効果を期待することができます。
治療が終了してチューブを抜くと、自然と鼓膜の穴は塞がりますので、難聴などの後遺症をのこすことはありませ

ん。

滲出性中耳炎の治療中の注意点

滲出性中耳炎は治癒までに長い期間が必要になることもあり、再発しやすい病気でもあります。治療を続けることで完治が可能な病気ですので、医師の指示に従い鼓膜の膿がなくなるまで治療を続けましょう。

また、早期に治療を開始することも重要になります。特に小さな子供は症状を大人に正しく伝えることができないので注意が必要です。耳をきにしていたり、機嫌が悪かったり、音が聞こえにくいそぶりを見せているなど、いつもと違う様子がみられるときは早めに病院で検査してもらうようにしましょう。

そのほか、耳の状態を健康に保つために、免疫力を高め風邪に負けない強い体を作っていくことも大切です。鼻や喉も清潔に保ち、規則正しい生活を送るように心がけてください。

おわりに:滲出性中耳炎になったときは、必ず病院を受診し適切な治療を受けよう

滲出性中耳炎は、鼓膜の奥の中耳に膿が溜まる病気です。治療には長期間を要することがありますが、適切な治療を行えば完治することができます。滲出性中耳炎の治療は、医師の指示通り必ず最後まで続けましょう。

また、早期に発見することも治療のためには大切です。子供は自分の症状に気づかなかったり、症状をうまく伝えることができないので、耳を気にする様子や音が聞こえにくいといった変化に気づけるように注意してください。

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