記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/6 記事改定日: 2018/11/26
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
尿道結石とは、尿道にできる結石のことです。腎結石、尿管結石、膀胱結石と合わせて尿路結石と呼ばれますが、尿道結石になるとどんな症状が起こるのでしょうか。この記事では尿道結石の症状や治療・予防について解説しています。
尿は腎臓で作られ、尿管を流れながら少しずつ膀胱に溜められます。さらにそこから尿道を通って体の外に排出されるのが排尿です。その腎臓から尿道までの尿の通り道を全部引っくるめて「尿路」と言い、1番最後の尿道部分に結石ができてしまった状態のことを「尿道結石」と呼んでいます。
よく耳にする「尿路結石」とは、上記の通り道のいずれかの場所に結石ができた状態の総称を指し、その中には「尿道結石」以外にも「腎結石」「尿管結石」「膀胱結石」が含まれます。
尿道結石の主な症状は「尿の出にくさ」「痛み」「血尿」の3種類です。特に辛いといわれているのは「尿の出にくさ」と「痛み」で、膨満感から無理に尿を排出しようとすると激しい痛みが伴います。
基本的には腎臓や尿管、膀胱で作られた結石が最終的に尿道に詰まってしまうことで発病しますが、尿路結石のうち、腎臓から尿管で起こる「上部尿路結石症」が全体の95%を占めるとされているため、一般的には尿道で詰まるまでに何らかの症状が現れて発覚することがほとんどです。
また結石が原因で尿道が傷つけられ出血を伴うことがあるため、痛みの有無に関わらず血尿が1つの目安となります。
尿道結石の治療として最優先されることは、「尿道を傷付けない」ということです。そのため、一般的には結石を無理に取り除いたり排出させようとしたりせず、自然排出を待ちます。しかし、事前の尿検査や画像診断によって自然に排出されないことが明らかである場合は、結石を膀胱内に押し戻して、膀胱結石として内視鏡による治療を行ないます。
尿道結石の多くは水分を多めに摂って体をよく動かすことで自然に排泄することがほとんどです。しかし、結石が大きく、尿道をなかなか通過できない場合は、尿道を傷つけたり、細菌感染の原因になることもあるため、排泄を促す治療や再発予防のための薬物療法が行われることがあります。
排石を促すための薬としては、尿量を増やすためのラシックス®などの利尿剤や猪苓湯などの漢方薬、結石を溶解させる効果のあるウラジロガシエキスなどが用いられます。また、尿道を広げるための抗コリン薬などが用いられることもあります。
一方、再発を予防するための薬としては、結石の形成を予防するクエン酸製剤やマグネシウム製剤、アルミニウム製剤などが用いられることもあり、尿量が少ない場合には利尿剤が使用されることも少なくありません。
結石ができてしまう主な原因は食生活にあります。
近年、日本でも食生活が欧米化し、特に肉類の摂取量が著しく増加してきました。肉類にはシュウ酸や尿酸が多く、通常シュウ酸は体内でカルシウムと結び付いて便と共に排出されます。しかしシュウ酸の量が増えると、便だけで排出しきれないため尿でも排出されるようになってしまい、それが結石となってしまうのです。
肉類やホウレン草などシュウ酸が多く含まれている飲食物を避けることが予防につながりますので、毎回の食事で工夫しましょう。
避けるのが難しいという人は、シュウ酸と結び付きやすいカルシウムを積極的に摂取し、便と共に排出しやすくしてください。
また、結石は排尿の少なさに起因するといったデータもあるため、意識して積極的に水分を摂取するようにしましょう。
尿路結石の1つである尿道結石は、時に激しい痛みや出血を伴う病気です。その原因のほとんどは欧米化した食生活や、水分摂取不足などの生活習慣に起因していると言われています。一旦かかると再発しやすいと考えられている病気なので、今後は食生活や生活習慣をしっかりと見直して、再発予防に努めましょう。
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