記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
大腸菌は激しい腹痛や下痢を引き起こし、出血性下痢の原因となります。子供や高齢者、別の病気を持つ人の場合、症状はより悪化します。
症状は、細菌に感染してから約一週間後に始まります。最初の徴候は、突然の激しい腹痛で、数時間後、下痢が始まります。下痢により脱水状態へ陥り、疲労感も増します。下痢は約一日中続いた後、感染が腸に傷口を作るため血便に変わります。血性の下痢は2〜5日間続き、日に10回以上排便があることもあります。”すべてが血液で便ではなかった”と言う人もいます。水状の下痢、血まみれの下痢、けいれん、発熱、悪心、嘔吐などの症状がある場合はすぐに医師に相談してください。
ほとんどの大腸菌感染は以下のことから起こります。
・生の牛肉を食べる
・汚い水を飲む
・非殺菌の牛乳を飲む
・牛に触れる
・動物の糞で汚染された食品(野菜など)を食べる
牛は腸内に大腸菌を保有するため、屠殺過程で肉のなかに大腸菌が混入し、汚染されることがあります。
高温で調理していない場合、または、十分に加熱していない場合、肉から病原菌が胃や腸に入ることで、大腸菌感染へ至ります。病原菌は、人から人に伝播するため、保育園や養護施設で感染することもあります。大腸菌に感染した人は伝染性が高いため、感染性がなくなったと確認が出るまで、外に出て他の人と接触すべきではありません。
診断は、大腸菌糞便培養の所見によって行われます。血性の下痢がある場合、できるだけ早く医師に相談してください。下痢が始まってから最初の48時間以内に培養物を採取し検査を行わなければならないためです。
たくさんの水を飲んで合併症を防ぐことを除き、特別な治療はありません。
医師が指示しない限り、下痢止めは服用しないでください。腸から大腸菌が排泄されないようにしてしまいます。重篤な脱水症状の場合は、病院に行く必要があります。
合併症は溶血性尿毒症症候群と呼ばれ、溶血性貧血(赤血球数が低い)、血小板減少症(血小板数が少ない)、腎不全(腎臓の障害)が起こります。
溶血性尿毒症症候群は小児でより一般的で、急性腎不全を引き起こす可能性があります。下痢が始まってから約5~10日後に始まり、病院で治療する必要があります。
安全な方法で肉を扱い、調理することが、感染を防ぐのに役立ちます。以下の項目に気を配ってください。
・調理を始める前に、石鹸で手をよく洗う
・ピンク色が見えなくなるまで、肉を炒める
・料理をしている間に生の挽肉を味見しない
・生の挽肉を入れたプレートに調理した料理を入れない
・肉は冷蔵庫または冷凍庫で保存する
・自然解凍ではなく、電子レンジで解凍する
・肉は他の食物と別に保管し、肉に触れたまな板や食器は、お湯と洗剤でしっかり洗う。
・非殺菌の生乳は飲まない
・果物や野菜をきちんと洗う
・残り物はすぐに冷蔵するか、捨てる
・下痢を患っている人は、お湯と石鹸でこまめに手を洗い、丁寧に30秒間以上洗ってください。
デイケアセンターやで働く人や高齢者と一緒に暮らす方もこまめに手を洗ってください。
・大腸菌の感染原因を知るにはどうすればよいですか?
・大腸菌の感染を防ぐために肉を安全に調理するにはどうすればいいですか?
・調理不十分の肉以外に何が大腸菌感染を引き起こしますか?
・大腸菌に感染しているかもしれないと感じたら、どうすればいいですか?いつ受診すべきですか?
・大腸菌に感染した場合、脱水を防ぐにはどうすればいいですか?