記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
気分変調性障害はうつ病の一種で、少なくとも2年間続き、中には何年も苦しむ人もいます。うつの程度は、通常軽度で、いつ発症したのか気づきません。
気分変調性障害の症状には、食欲不振または過食、睡眠不足または睡眠過多、活力不足、疲労および絶望感が含まれ、2カ月程度の間、ごく普通の状態に戻るため、家族や友人にうつ状態が気づかれないかもしれません。軽度のうつですが、家庭、学校、仕事への従事が難しくなる可能性もあります。
気分変調性障害はうつ病の一般的なタイプで、約4%の人に症状があると推定され、女性によりよく見られます。
原因はまだ不明で、セロトニン(脳が感情を扱い、判断するのを助ける)と呼ばれる化学物質を含む脳の変化に関連している可能性が推測されています。健康状態や日々のストレスの影響も大きいようです。
症状があると思われる場合、医師に相談してください。医師はうつがあるか調べ、患っているかもしれないうつ病のタイプを調べます。よく眠れているか、疲れているか、集中しにくいか、といった質問をされるかもしれません。甲状腺や服用している薬などを絡めて、うつに関連する医学的理由も考慮に入れて判断します。
抗うつ薬で治療することができます。このタイプの薬はうつを和らげるのに役立ちます。抗うつ薬は「高揚感」を感じさせるものではなく、習慣性もありません。
抗うつ薬の効果を知るには、数週間または数カ月かかるため、医師の指示通りに薬を飲むことが重要です。抗うつ薬が症状の改善に役立つ場合は、数年間、薬を服用する必要があります。服用をやめると、再びうつになることがあるからです。
また、薬を止めることによる副作用が起こることがあります。服用を中止したい場合は、まず医師に相談することで副作用を避けるようにしてください。
抗うつ薬を服用することに加えて、カウンセリングが問題の対処に役立つことがあります。多くの医師は、薬物療法との併用で、治療の効果が上がると考えています。
気分がどのように感じているのか医師に相談することが、気分を良くするための第一歩です。以下も役立ちます。
・気分を良くし、達成感を感じさせる活動を見つける。映画に行ったり、ドライブをしたり、スポーツ観戦をしたり、また、庭仕事や慈善活動に励むのも気分改善に役立ちます。
・規則正しく、バランスの取れた食事を摂る。
・薬物やアルコールを摂取しない。うつ病を悪化させる可能性があります。
・定期的な運動をする。運動は気分改善に最適です。できるだけ毎日、30〜60分間運動するのがベストです。