記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/19 記事改定日: 2020/6/1
記事改定回数:3回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
骨肉腫は、骨にできるがんです。子どもなど若年者に発症することが多いがんとしても知られています。全身に転移すれば命に危険が及ぶ可能性があります。この記事では、骨肉腫の初期症状や痛みが出る場所を紹介します。セルフチェックを合わせて解説していきますので、早期発見・早期治療に役立ててください。
骨肉腫は骨にできる腫瘍で、比較的若い世代に発症しやすいです。下半身の骨に発症するケースが多く、下記のような場所の骨に腫瘍が発症します。
関連記事:骨肉腫ができやすい部位があるって本当?どんな症状がみられる?
一昔前までは、骨肉腫と診断されると腫瘍が発生した部位の早期切断をすすめられることが多くありました。なぜなら、骨肉腫の治療後に肺などに転移する場合や、手足を切断することへの抵抗感から治療が遅れる傾向があったためです。そのような背景から、かつては5年生存率が10%~15%と低い数値を推移していました。
最近では、切断以外の治療法が確立されたことで、進行の度合いによっては切断しなくても治療できるようになり、生存率も飛躍的に高くなったといわれています。
骨肉腫の症状で多いのが、痛みです。ただし、膝や肩、腰、背中など、日常生活の中で痛みが起こりやすい部位に痛みが出やすいことから、骨肉腫を発症していると気がつきにくいのが特徴です。
また、骨肉腫の症状は「筋肉痛や関節痛などと似た痛み」が起こります。骨肉腫が進行して腫れや発熱などが生じても、深刻に考えずに市販の薬や湿布に頼り、病気の発見が遅れがちになる場合がみられます。
実際、関節が動かせないくらい痛みや腫れがひどくなってから初めて医療機関を訪れて、骨肉腫とわかる人も多いといわれています。
骨肉腫は早期発見・早期治療によって予後がよくなることが期待できます。
しかし、初期症状の痛みが「筋肉痛」や「関節痛」と勘違いされることも多く、病状が進行してから病院を受診することも少なくありません。とくに、成長期の人ややスポーツに励んでいる人などは「いつもの痛み」と勘違いしやすいので気をつけてください。
このため、次のような症状が一か月以上続いている場合には、病院を受診するようにしましょう。
骨肉腫は基本的に整形外科で診断・治療を行います。子供から大人まで診察が可能ですので、骨肉腫が疑われる症状が現れたときはできるだけ早く整形外科を受診しましょう。
また、診断を下すには、次のような検査が必要となります。
骨の状態を調べるためには画像検査が必須です。骨肉腫が疑われると、一般的にはまずレントゲン検査が行われます。画像から骨肉腫と思われる特徴的な変化が見られた場合は、骨や周辺の筋肉などの状態をさらに詳しく調べるためにCT検査やMRI検査が行われます。
骨肉腫を発症すると、身体の炎症を表す「CRP」という値や、骨の生成に関わる酵素である「アルカリホスファターゼ」という値が上昇します。これらの数値の上昇は骨肉腫だけでなく、骨にできる別の腫瘍でも高くなることがありますが、診断の手がかりの一つとして血液検査を行うのが一般的です。
骨肉腫の確定診断のためには病理検査が必要です。病理検査では手術で切除した腫瘍の組織を顕微鏡で詳しく調べ、腫瘍の細胞の特徴などをもとに骨肉腫と確定診断します。
骨肉腫は子供に発症することが多いのが特徴です。がんのなかでは珍しい病気に当たり、発症率が高いわけではありません。しかし骨肉腫が進行すると、転移を起こして死に至る可能性があります。このため、万が一発症したときは、できるだけ早く発見し適切な治療を行うことが大切です。
子供は自分で症状を訴えることができないことも多いため、日ごろから次のような点に注意してあげましょう。
関連記事:子供に骨肉腫ができるとどんな症状がある?治療法や生存率は?
骨肉腫に関する医療技術は以前に比べて飛躍的に進歩し、現在では生存率が上昇しました。しかし、治療が遅れて全身に転移すると命に関わることがある病気です。特に子供は自分で症状を訴えることができないことがあります。気になる痛みやサインがある場合は、早めに病院を受診しましょう。