記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
高血圧を放置すると、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気に発展する可能性があるので危険です。治療は生活習慣の改善と薬の使用を並行して進められますが、薬を飲んでも血圧が下がらない場合、何が原因になるのでしょうか。
この記事では、高血圧の薬物治療について解説していきます。
高血圧を治療するために、最初は薬ではなく、生活習慣の見直しから行います。「高血圧ガイドライン2014」によると、生活習慣の見直しは、以下の6つの観点から行います。
ただ、重篤な腎障害を持つ人の場合は高カリウム血症を発症するリスクがあるため、野菜・果物の積極的摂取を制限されることがあります。また、果物は糖分が多いので、肥満傾向の人や糖尿病などのカロリー制限が必要な人にはすすめられません。
すでに高血圧を診断されている人の場合は、医師の指導もとで生活習慣が見直されるので、必ず医師の指示を守ってください。
生活習慣を改善しても血圧が下がらない場合、生活習慣の改善とともに、薬物治療も行うことになります。高血圧の治療では、以下のような薬を服用します。
血管へのカルシウムイオンを減らし、血管を広げることで血圧を下げる働きがあります。ただし、グレープフルーツを食べると薬が効きすぎることがあるので注意しましょう。
血管上昇作用を持つアンジオテンシンを減らして血圧を下げます。咳が出るなどの副作用が起こることあります。
腎臓から塩分と水を排出することで血圧を下げる効果があるだけでなく、ほかの降圧薬の効果を強める作用があります。利尿薬は、サイアザイド系利尿薬と、ループ利尿薬、およびカリウム保持性利尿薬(アルドステロン拮抗薬)があり、それぞれ効能や副作用が異なります。
主に交感神経の心臓への作用を抑えて血圧を下げる働きがあります。虚血性心臓病への効果が大きく、頻脈性不整脈や心不全にも有効です。副作用として、徐脈(不整脈のひとつ)やぜんそくの悪化などがあります。
高血圧の治療薬が効かない場合は、腎臓や副腎などの病気が原因で血圧が上昇する「二次性血圧」や他の薬の副作用による「薬剤性高血圧」の可能性が考えられます。これらの場合は、原因となる病気の治療や、薬剤の服用を中止しない限り高血圧は改善されません。
薬を飲み始めて二週間ほどしても血圧が下がらない場合は、漫然と服用を続けず、必ず担当医に相談するようにしましょう。
高血圧の状態が長期間続き、生活習慣の改善だけでは血圧を下げられないと判断された場合は、降圧剤などを使った薬物治療が必要になります。ただし、薬での治療と並行しながら生活習慣も改善していくことが重要です。食事療法と運動療法を取り入れることが一般的ですが、それらにあわせて飲酒制限や禁煙、睡眠改善やストレス解消にも心がけるようにしてください。