記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/27 記事改定日: 2018/11/9
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食道は消化器官のひとつであり、この器官にがんができることを食道がんといいます。食道がんは自覚症状が現れないことも多いため、早期発見のためには定期的な検査が必要です。
この記事では、食道がんの検査方法を紹介しています。
のど仏の下から胃にいたるまでの管状になっている臓器が食道です。食道の壁は粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層からなり、日本人の90%以上の人は一番内側の粘膜にがんが発生するとされ、これを扁平上皮がんといいます。
60~70歳代の男性に多く見られるがんであり、他にも腺がんという種類の食道がんがありますが、これは日本人では10%以下にとどまります。一方、欧米人は60〜70%がこの腺がんといわれるタイプの食道がんです。
食道がんは、内視鏡検査やX線検査による肉眼的な初見で分類することができます。食道の壁の粘膜下層までに止まっているがんが表在型であり、このなかでも粘膜層に止まり、リンパ節の転移がない食道がんは早期食道がんと定義されます。さらに、固有筋層以上に及んでいると推定できるものを進行型としています。
扁平上皮から発生したがんは他の層へも広がり、周囲の臓器へ浸潤していきます。この浸潤の深さを壁深達度といいます。深達度が深いほど、リンパ節に転移している確率が高いとされています。
切除した食道がんの断片から、がんを顕微鏡で観察し組織学的に分類し、がんの質を見分けることができます。食道がんは粘膜から発生する上皮性悪性腫瘍と、非上皮性悪性腫瘍に分けられます。扁平上皮がんや腺がんは上皮性悪性腫瘍です。
代表的な検査に内視鏡検査があります。食道の粘膜や病巣部を直接観察できるのが特徴です。
X線(レントゲン)検査は、バリウム溶液を飲み、食道を通過するタイミングで撮影する検査です。がんなどの病巣があると、凸凹の変化や影として写るので診断の参考にします。
また、超音波内視鏡検査では、音波が跳ね返ってくるエコーを利用して、跳ね返りの強さなどの情報をもとにがんを見つけだし、CT検査やMRI検査はX線や磁気を利用して得られた情報をコンピューターで解析して診断に役立てます。
上記の検査結果の総合的に判断することでより確実な診断が可能になるのです。
近年では、PET検査という「がん細胞が糖を多く必要とする性質」を利用し、ブドウ糖に似た薬剤を利用して体内の薬剤の分布を画像にして検査する方法もあります。
がんは進行していくもので、病期によって治療法も変わってきます。リンパ節や他の臓器に転移があると、その分治療や治癒が難しくなります。検査はがんがあるかどうかだけでなく、がんの広がりを見ることにも役立ちます。少しでも早く全身の状態を調べ、進行度合を把握することは治療の方針を決めるためにもとても重要になってくるのです。
食道がんは初期段階では、食道粘膜に小さな隆起や潰瘍性病変などが生じるのみなので、自覚症状が少ないとされています。
しかし、がんが進行して大きくなったり、気管や肺などの周辺臓器や神経に広がると様々な症状が現れるようになります。代表的な症状としては、飲食物の飲み込みにくさや喉のつかえ感、前胸部痛、体重減少、咳などが挙げられます。少しでも気になる症状があるときは早めに検査をするようにしましょう。
食道がんは、早期の段階ではレントゲン検査などで発見することは困難です。早期発見のためには定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。
胃カメラは口や鼻から挿入し、食道を通って胃や十二指腸を観察する検査です。このため、検査では食道の内部を観察することが可能です。胃カメラ検査では早期段階の微小な粘膜の変化なども発見することが可能であり、病変の一部を採取して病理検査を行い、確定診断を下すこともできます。
また、食道がんだけでなく胃がんなどの早期発見も可能になりますので、特に自覚症状がない場合でも40歳以降になったら定期的に胃カメラ検査を受けるようにしましょう。
食道がんに限らず、がんは自覚症状が現れないことが多い病気です。早期発見のためには定期健診が必要であり、より適切な治療計画を立てるためには、詳細な検査が必要になります。
わずらわしいと感じる人もいるかもしれませんが、定期的な検査は忘れずに行うようにし、精密検査が必要といわれた場合は早めに検査を受けるようにしましょう。
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