記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
虚血性大腸炎とは、腸の血管が一時的に詰まってしまうことで発症する病気です。動脈硬化などが主な原因ですが、これに便秘が重なると発症しやすくなる場合があります。この記事では虚血性大腸炎の原因や予防に取り入れたい食事習慣について解説しています。
虚血性とは、血液が届かなくなるという意味です。「虚血性大腸炎」とは大腸に栄養や酸素を与える血管が一時的に詰まり、血流が滞ったり断たれてしまうことで腸管内側の粘膜が損傷して炎症や潰瘍(かいよう)を引き起こし、悪化した場合には腐ってしまう病気です。
腸内に無数に張り巡らされている血管が「動脈硬化」を起こし、血管がふさがったり狭くなり、そこに「便秘」が起こることで腸の内圧が上がることなどが原因で下記のような症状を発症すると考えられています。
虚血性大腸炎は高齢者に多い病気でしたが、近年では食生活の変化や生活習慣などによって若い世代での発症も増えているといわれています。
虚血性大腸炎は動脈硬化による大腸の損傷が便秘などをきっかけに発症することがあります。そのため、動脈硬化と便秘を防ぐことが予防につながることもあります。
この2つの原因には共通する食生活がみられることから、食生活を見直し改善することで予防につなげていきましょう。
揚げ物や脂身、ジャンクフードなどの脂質のとり過ぎや、血圧を上げる作用がある塩分のとり過ぎなどが関係しています。
食事は腹八分目を心掛け、青魚や大豆、海草や根菜などから積極的に食物繊維をとり、濃い味付けを避けるようにしましょう。
ブロッコリーやトマト、ほうれん草、ニンジン、カボチャやナッツ類、鶏むね肉や大豆、白身魚などに多く含まれているので、積極的に摂ることをおすすめします。
虚血性大腸炎を予防するには、上で述べたような栄養素を多く取り入れた食事で動脈硬化と便秘対策を心がけることが大切です。ここでは、虚血性大腸炎を予防するのに役立つおすすめレシピを3つご紹介します。
食物繊維とミネラルが豊富な海藻はサラダにすることでヘルシーにいただくことができます。腹持ちもいいのでダイエットによる動脈硬化予防にも役立ちます。
ベータカロテン豊富なかぼちゃと乳酸菌豊富な牛乳をスープにすることで、食欲がないときにも食べやすいメニューに仕上げることができます。
健康的な食生活でありながら、がっつりしたものが食べたいときのおすすめメニューです。
虚血性大腸炎は、上述したように乱れた食生活が原因となるほか、便秘や生活習慣病による動脈硬化なども大きな要因の一つです。虚血性大腸炎を予防するには次のようなことを心がけましょう。
治療直後はなるべく腸に負担をかけないように、重湯(おもゆ)がおすすめされています。
栄養面を考え、食塩や添加物不使用の野菜ジュース、ヨーグルト、甘みが欲しければ熟したバナナなどを摂ることもよいといわれています。
また、腸内の善玉菌を増やすことが大切なことから、高純度のオリゴ糖を取り入れることなどもおすすめです。腸への負担を避けるため、冷たすぎたり熱すぎる食事は避けるようにしましょう。
徐々に摂取する食材を増やしていくことができます。豆腐やカレイなど筋の少ない白身魚、卵料理、しっかりゆでた野菜などから食事に加えるようにしてください。
大豆や根菜、繊維のしっかりした野菜や魚は様子をみながら取り入れることが大切です。コレストロールや脂肪を多く含む食品はできるだけとらないようにしながら、便秘体質を改善していくようにしましょう。
虚血性大腸炎は、大腸内の動脈硬化による虚血が大腸を痛め、便秘などによる強い圧力によって発症することがあります。予防や治療後には、食事や生活習慣に気をつけて、動脈硬化や便秘の予防が大切です。脂肪分や塩分、コレストロールに気をつけながら、バランスのとれた食事をするようにしましょう。