味覚障害で食事が辛い!味のなさや苦味にはどんな工夫ができる?

2017/12/20 記事改定日: 2020/10/15
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

味覚障害とは味がわからなくなったり、本来の味とは違う苦味などを感じてしまうことをいいます。この記事では、味覚障害の原因や食事面での工夫の方法について紹介しています。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

味がしない?苦く感じる?味覚障害とは

味覚障害とは、味覚機能(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味など)に低下や麻痺がみられ、本来の味とは異なる味と感じたりしてしまう状態です。患者の約半数近くを65歳以上の高齢者が占めますが、若年世代でも増加傾向にあるといわれます。

味覚障害の代表的な症状を、発症が多い順番に説明します。

味覚低下または味覚消失

味がわからなくなる症状です。70~75%の患者に現れるといわれています。

自発性異常味覚

「何も食べていないのに口の中が苦い」などが感じられ、味覚低下とともに現われる場合もあります。

そのほかの症状

本来の味を取り違える、何を食べてもおいしくないと感じる症状などが生じることもあります。

味覚障害が起こる原因は?病気の影響も?

味覚障害は、日常生活に起因するものと、病気に関連する場合との2種類に分かれます。

日常生活に原因がある場合

偏った食生活による亜鉛不足、高齢による味覚機能の減退、嗅覚の低下、薬の副作用、舌の表面の異常などが挙げられます。

病気が原因の場合

糖尿病、肝不全、腎不全、甲状腺疾患などが挙げられます。また味覚を伝達する神経経路が異常をきたすことで味覚障害を起こす疾患として、顔面神経麻痺や脳梗塞・脳出血、聴神経腫瘍などがあります。

薬の影響

味覚障害は、病気の治療薬による副作用が原因のこともあります。次のような薬は味覚障害を引き起こしやすいため注意が必要です。

  • ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤・抗不安剤
  • 抗てんかん薬
  • 解熱鎮痛剤
  • 抗パーキンソン剤
  • 向精神薬
  • 抗不整脈薬
  • 利尿薬
  • 血圧降下剤
  • 咳止め
  • 高脂血症薬
  • 胃薬
  • 血糖降下薬
  • 抗がん剤

味がしない、苦味が強いなどへの食事の工夫

味覚障害で食事を美味しく感じなくなったことで食事量が減ってしまうと、思わぬ健康被害が発生してしまう場合があります。
また、病気が原因で味覚異常が現れた場合は、食事をきちんととらないと回復が遅れてしまう可能性もあるでしょう。

食事制限や栄養指導はきちんと守る必要がありますが、許可された食事に関しては、味付けなどを工夫して対処ができることもあるのです。
味に異常を感じる場合は、似た味の調味料を代用するなどしながら柔軟に対処していきましょう。

塩味やしょうゆ味の工夫

塩味やしょうゆ味を苦く感じたり金属味を感じる場合は、みそなど塩味の代わりとなる基本調味料を用いてみましょう。だしやごまの香り、酢の風味などを加えることで改善する場合もあります。

甘み調節の工夫

甘みを敏感に感じやすい場合は、塩味やしょうゆ味を濃いめにしてみたり、砂糖やみりんなどの甘味を控えてみてください。そして、ジュースや酢など酸味を利用する、自分の好みのスパイスを用いるなどの工夫で改善する可能性があるでしょう。

味を感じにくいときの工夫

食事指導や栄養面で問題のない範囲で、味付けを濃くしてみましょう。また、酢の物、汁物、果物を多く取り入れる、食事の温度を人肌程度に冷まして食べるなどの対策をとることで、いくらか味を感じやすくなる場合があります。

苦味への工夫

食べ物が苦く感じる場合は、苦みを消すために、ドロップやキャラメルを口直しに食べてみましょう。香辛料も効果的とされますが、好き嫌いや個人差があります。いろいろと試しながら、自分にあったものを選んでください。

食前の工夫

食前に、レモンやフルーツジュースで味覚を刺激することもおすすめです。
口の中が乾燥していると、味蕾が味の成分をうまく感知することができず、味を判別しにくくなるといわれています。梅干しやキャンディー、ガムを食べて唾液の分泌を促したり、水分を多くとるようにしましょう。

おわりに:味覚の異変の症状が続く場合は病院で診てもらおう!

味覚障害は、知らず知らずのうちに症状が進行し、気がついた時にはかなり症状が進んでいるケースも少なくありません。また味覚障害自体は生死に直接関わる病気ではありませんが、何らかの病気が引き金になっている可能性もあります。自分の味覚に応じた味付けなど柔軟な食生活を心がけることも大切ですが、長続きする場合は必ず病院を受診するようにしてください。

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