記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
腰椎分離症になると、腰まわりにひどい痛みを感じるようになります。痛みが出てきたとき、安静にさえしていれば症状が改善するのでしょうか。この記事では、腰椎分離症の治療方法をご紹介します。
腰椎分離症は腰椎の骨の一部が離れてしまう症状です。長時間の立ち仕事や重労働の後などに、腰に鈍く重い痛みを感じるようになります。前かがみの姿勢やしゃがんだ時にも痛みが強く出ることがあります。
腰椎分離症の原因には、先天性と後天性のものがあります。後天性の場合、子供のときに行っていたスポーツで腰に負担がかかった結果、疲労骨折を起こしたことが原因のひとつと考えられています。この疲労骨折は、体が柔らかい時期にジャンプや腰の回旋を行う動作を繰り返し行ったために、腰椎の後方部分に亀裂が入って発症することが多いです。
一般人で発症するのは5%ほどと言われる腰椎分離症ですが、スポーツ選手の場合は30~40%の人が罹患していると言われます。腰椎分離症は10代で発症することが多く、また、腰椎分離症が分離すべり症に進行するケースもあると言われています。
腰椎分離症の痛みを軽減させるためには、コルセットをしてしばらく安静にするのも一つの方法ですが、痛みの原因を知ると改善しやすくなります。
腰椎分離症は、腰椎の骨が離れていることで痛むのではなく、分離した骨の周辺にある筋肉が硬くなったために痛むと言われています。このため、痛みだけを治してスポーツを再開すると、症状が再発する可能性があります。痛みがぶり返さないように体の柔軟性を取り戻したり、体のケアを習慣化することが大切です。
また、身体の歪みが腰椎や周辺の筋肉に負担をかけていることも考えられます。そこで、整体などの施術を受けて、歪みを調整するのもお薦めです。また、生活習慣を整えることも重視されており、栄養バランスのとれた食事や質のいい十分な睡眠、腰に負担をかけない程度の軽いウォーキングも症状の改善に効果があるとされています。
腰椎分離症による傷みが落ち着いた後も、スポーツなどで同じ動作を行うと痛みがぶり返しがちです。焦って運動を再開するのではなく、十分に回復してから復帰するようにしましょう。
大切なのは、痛みを再発させないことです。そのためにも、腰椎分離症で硬くなった筋肉に再び負担をかけないよう、腰やおしり、太ももなどの筋肉をほぐして柔軟性を保ちましょう。肩甲骨や背骨、腰にかけての筋肉も柔らかくしておくと、弱っているところや疲労が溜まりやすいところに負担が集中するのを予防できます。
腰椎分離症だからといって腰だけに注目するのではなく、生活習慣を見直したり、全身の骨や筋肉を意識した無理のないリハビリやトレーニングを行いましょう。そして、スポーツや仕事の再開は十分に回復してからにし、痛みの再発を防ぎましょう。
痛みがひどいときはコルセットをして安静にすることが大切です。でも、痛みが落ち着いてきたら、少しずつ体を動かしながら腰やその周辺の筋肉をほぐしてみましょう。また、十分に回復するまではスポーツや無理な動きは控えてください。