記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
喫煙および受動喫煙が、人体に様々な害をもたらすことは周知の事実です。
しかし、実際どのような悪影響をもたらしてしまうのかどのような病気に罹患するのか、イメージできない方もたくさんいるのではないでしょうか?
この記事では、喫煙がもたらす実に多くの悪影響の中から、いくつかをピックアップしご紹介します。喫煙の恐怖をイメージしてみてくださいね。
慢性気管支炎とは、3カ月以上続く気管支炎です。痰(たん) 呼吸困難、 胸の圧迫感 、咳(せき)が症状としてあらわれます。
なお、肺気腫(肺胞の組織が破壊された状態。息を吐くことができなくなり呼吸困難を引き起こす)を併発した慢性気管支炎は、 慢性閉塞性肺疾患(COPD) と呼ばれ、生命を脅かす病気であり正常な呼吸を妨げます。一度罹患すると完治しません。
※現在は慢性気管支炎、肺気腫ともにCOPDにまとめられています。
肺がんの主な原因は喫煙です。新しい治療法で生存率が上昇していますが死亡する可能性もあり、一生タバコを吸う人の半数は早期に死亡するといわれています。
なお、肺がん患者の多くは、長年喫煙してきた60代から70歳代の人ですが、20代や30代の人も肺がんになる可能性はあります。
血管が弱くなり、風船のように異常に大きくふくらむ病気です。動脈瘤が大きくなりすぎると、大動脈が裂けたり、破裂することがあります。
動脈瘤ができても特に症状はありませんが、血液がもれたり、瘤が裂けたりすると、腹部、そ径部、背中、脚または臀部(ルビ)に突然の痛みが走ったり、吐き気と嘔吐、腹筋の異常な硬直、腹部の腫れやふくらみ、冷や汗をかくことがあります。
間接喫煙は、子どもにとって短期的あるいは長期的な病気につながる可能性があります。副流煙は、4,000以上の刺激物、毒素、および発がん性物質を含む毒性の強い物質です。
喫煙者のいる家庭で育った子どもは、喫煙しない家で育った子どもより血流内に高レベルのニコチンを保持しています。なお、間接喫煙した子どもが若いほど深刻な影響を含みます。
例えば以下のような病気に罹患するリスクを負います。
・慢性の耳感染症。耳管の手術が必要なことがある
・喘息の発症や悪化
・低出生体重
・肺機能の低下
・慢性の咳、痰、息切れ、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症
・急性乳児死亡症候群(SIDS)。SIDSは、1歳未満の赤ちゃんが眠りにつくときに死亡する原因不明の症状
・肺がんや心臓病
禁煙したい場合は、禁煙をサポートしてもらえるかをかかりつけの医師に相談してみてください。医師はニコチン補充療法やZybanやChampixといったなどの処方薬についてアドバイスできます。これらを使うことで、禁煙に成功する可能性が高まります。また、地域の禁煙サポートグループや禁煙アドバイザーに連絡を取ることもできます。
喫煙がもたらす恐ろしい病気についてイメージが湧いたでしょうか?喫煙は、あなただけではなく家族や周囲の人も苦しめる可能性を十分に秘めています。これを機に、「百害あって一理なし」の喫煙を今日から辞めてみてはいかがでしょうか?