記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
頻尿や尿漏れは、女性に多いといわれてる排尿トラブルです。改善方法のひとつに膀胱トレーニングがあります。
今回の記事では、膀胱トレーニングの方法について解説しています。頻尿や尿漏れの原因や膀胱トレーニングが有効とされる頻尿についても詳しく解説しているので、参考にしてください。
体内の余った水分や不要な老廃物は、腎臓でろ過されて膀胱にたまります。膀胱に尿がたまっても、尿道を筋肉が締めつけているので、すぐに出てしまうことはありません。
トイレに行くなどして、脳が「尿を出してよい」という命令を出すと、この筋肉がゆるんで尿道が開き、止められていた尿が排泄されます。
ところが、加齢や出産、薬などの影響で、この筋肉自体がゆるんでしまったり、膀胱の炎症やホルモンバランスの変化などの影響で、脳が間違った命令を出すようになることがあります。その結果、頻尿に陥ったり、意図に反して尿が漏れたりしてしまいます。
くしゃみやせきをしたときにほんの少しもれてしまう尿漏れから、トイレに行くまでがまんできず一気に出てしまう失禁まで、症状はさまざまです。
膀胱トレーニングは、頻尿や切迫性尿漏れ、失禁してしまう人のためのセルフケアのひとつです。これは尿が膀胱にある程度たまるまで我慢して、膀胱の容量を拡大していく訓練法です。
受診をためらう程度の軽症の過活動膀胱や習慣性・心因性頻尿は、膀胱トレーニングである程度改善できることがあるといわれています。
なお過活動膀胱の診療ガイドラインでは、薬物療法と並び、膀胱トレーニングなど行動療法が高く評価されていて、 薬物療法と膀胱トレーニングの併用で薬の量を減らせたり薬のを使わなくてもよくなったりすることがあります。
膀胱トレーニングは骨盤底筋の脆弱化などによる過活動膀胱には症状改善効果が期待できますが、以下のような原因の尿漏れ・頻尿・失禁には効果がありません。
尿漏れや頻尿、尿失禁などの原因を自分で判断するのは困難です。過活動膀胱と思っていても、別の病気が原因になっていることは多々ありますので、これらの症状がみられた場合は、まず病院を受診して検査を受けるようにしましょう。
膀胱トレーニングは、「毎回、尿意を感じてから5分位我慢する」ことの積み重ねです。
尿意が強くてもあせらずに、深呼吸をして気をそらせることがコツになります。
など、自分にあった尿意をガマンする方法を使いながら尿意がおさまるのを待ちましょう。
切迫性の尿意はピークを過ぎればだんだんおさまりますが、最初から無理して長時間ガマンしようとせず、時間を延ばすのは慣れてきてからにしましょう。
尿意をガマンできる自信がついてきたら、10分・15分・20分と少しずつ時間をのばすようにしてください。
目安としては、昼間の排尿回数が5~6回ぐらいで、排尿間隔が3時間開くようになることを目標に続けていきましょう。
排尿の異常に対して、膀胱トレーニング以外でできる対策には以下のようなものが挙げられます。いずれも日常生活の中で簡単に行うことができますので、試してみましょう。
頻尿、尿漏れ、失禁は、多くの女性が抱える深刻な悩みです。軽症のうちに膀胱トレーニングに取り組むことで効果を期待できますが、他の病気が隠れている場合は独断でトレーニングを開始せず、医師の助言に従いましょう。