記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/5 記事改定日: 2020/10/12
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
吐血も喀血も口から血が出ることですが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、吐血と喀血の原因や特徴の違いについて解説しています。
吐血と喀血は、どちらも口や鼻を通じて血が出ることです。どの器官から出血しているかによって、吐血と喀血に区別されます。
吐血は、基本的に消化管から出血した場合にみられます。消化管とは食べ物の通り道のことで、食道や胃以外にも大腸や肛門などがあります。吐血は、消化管の中でも上部消化管といわれる食道、胃、十二指腸からの出血が原因でおこります。
喀血は、気管や気管支炎、肺などの呼吸器系の器官からの出血が口や鼻から出てきたものです。呼吸器は空気の通り道であり、そこから出血すると呼吸器が刺激されるため咳き込む場合があります。
吐血と喀血の違いは、上記で説明したように「どこで出血したか」で分けられます。吐血は消化器系から、喀血は呼吸器系からの出血です。
吐血と喀血を見た目で判別するのは難しいですが、色に違いが現れることがあります。
消化器系からの出血のため血が胃液と混ざることが多く、口から出たときの色は、黒っぽいコーヒーのような色になる場合が多いといわれています。また、血と一緒に食べたものがでてくることもあります。ただし食道静脈瘤の破裂の場合は、真っ赤な鮮血が多量に出ることがあるので注意が必要です。
呼吸器系からの出血のため、咳などと一緒に血が出てくることが多いといわれています。色は真っ赤で、あわと一緒に出てくることが特徴です。
吐血、喀血ともに体の異常を現すサインであり、大量に血を吐いた場合は緊急処置が必要です。また、血の色や量だけで重症度の判断はできません。安易に自己判断せず、早急に救急車を呼ぶようにしましょう。
吐血、喀血したときは、血液が気道に流れて窒息しないよう、衣類の締め付けを緩めて横に向かせた体勢で寝かせるようにしましょう。口の中に溜まった血液を誤って飲み込まないよう、口元には袋やバケツなどを用意しておくようにしてください。
また、大量の吐血や喀血があるときは血液が失われていくことでショック状態に陥ることもあります。冷や汗をかいている、意識が朦朧としているなどといった様子の変化があるときは脚を高く上げて横にさせるようにしましょう。
吐血、喀血ともに、どの部位から出血しているか、どんな原因で出血しているかによって治療法が異なります。
潰瘍とは、粘膜の表面が炎症してしまい傷ついた状態であり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になると潰瘍部分から出血することがあります。マロリーワイス症候群とは、食道と胃の境目が傷ついて出血してしまう病気です。
胃がんや食道がんの場合、大半は手術が検討されます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、マロリーワイス症候群でも手術が行われることはありますが、軽度のものであれば絶食と安静で回復を待つこともあります。ただし、病状の回復を促進するために止血剤等を使ったり、症状を抑えるための薬が処方されることもあります。
気管支拡張症とは、様々な原因によって気管支が広がってしまい元に戻らなくなる病気です。治療法としては、酸素を投与し、症状に応じて薬を投与します。
肺結核の場合は、抗結核薬の服用が中心で治療が進められます。周囲に感染を拡げるおそれがあると判断された場合は、隔離のために入院が必要になることもあります。
吐血、喀血ともに、口から血が出ます。口から血が出れば多くの人は焦るでしょうが、状況をきちんと把握し、適切な対処をすることが大切です。血の色やどんな状態で出血したかを担当医に伝えられると、病院での対応がスムーズになります。黒っぽいコーヒーのような色であったり食べ物と一緒に出てくれば吐血の可能性が高く、真っ赤で咳と一緒に出てきた場合は喀血の可能性が高いといえるでしょう。