記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/7 記事改定日: 2018/11/6
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
出血性膀胱炎とは、膀胱の粘膜の炎症で出血している膀胱炎のことです。主症状として血尿が現れ、症状が重くなると血の塊が出ることもあります。
この記事では、出血性膀胱炎の原因と血尿が出たときに気をつけることについて解説しています。
膀胱炎は、何らかの原因で膀胱の粘膜に炎症が生じたものです。
出血性膀胱炎は、出血を伴う膀胱炎で、発症すると血尿を生じます。ウイルス感染で起こる場合が多いとされ、排尿痛や残尿感、頻尿などの膀胱刺激症状がみられます。また、成人に比べ子供の方が発症しやすいといわれています。
軽症の段階では肉眼ではわからない程度の顕微鏡的血尿が出ますが、症状が進むと自分の目でも確認できる肉眼的血尿が出るようになります。重症化すると血液が尿の中で塊を作り、尿閉や膀胱萎縮を起こす可能性もあります。
出血性膀胱炎の原因は、小児ではアデノウイルスによるものが多いとされますが、女性の場合は細菌感染で起こるケースもあります。また、放射線治療の晩期後遺症として現れることもあります。その他、抗がん剤、免疫抑制薬、抗アレルギー薬、抗生物質、漢方薬などさまざまな薬品が原因となって発症することもあります。
尿に血が混ざる、血のかたまりを伴う尿が出ることを肉眼的血尿といいます。一方、目に見えないのに健康診断や糖尿病の尿検査でテープに血液反応が見られることを尿潜血といいます。子供の急性腎炎などで多くみられます。肉眼的血尿でも尿潜血でもその程度が軽くても、血尿は異常のサインです。
例えば、痛みを伴う血尿は急性膀胱炎や尿管結石の可能性があります。
急性膀胱炎は圧倒的に女性に多く、再発しやすく慢性化すると尿が溜まるだけで痛みが生じる病気です。
腎臓にできた結石が尿管へ流出した尿管結石では冷や汗をかくほどの激しい発作的な痛みが脇腹、下腹部、腰に現れます。吐き気や嘔吐に加え、肉眼で確認できるほどの血尿が出ることもあります。
痛みがない血尿は、腎臓がんや膀胱がんなどの初期症状として出ることがあります。最初は血尿以外の自覚症状はありませんが、進行すると排尿困難や排尿痛、頻尿、膀胱部の痛みなどに加え、全身の倦怠感や貧血などの症状があらわれます。また前立腺がんは、ある程度進行してから血尿がでるというのが特徴です。
尿の色がおかしいと感じたら、すぐに病院を受診しましょう。アデノウイルスによる膀胱炎をはじめとして自然に治ることも多いですが、ひどい場合は内視鏡による止血術が必要になることもあります。
出血性膀胱炎は様々な原因で生じますが、ウイルス感染や細菌感染によるものは感染症が落ち着けば自然と治ることがほとんどです。ただ、細菌感染によるものでは、膀胱炎が尿管や腎盂などに上行性に波及して腎盂腎炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあるため、適切な抗生物質による治療が必要となります。ウイルス感染症に対しては、抗ウイルス薬がないことが多く、自然と症状がよくなるのを待つしかありません。
一方、薬剤が原因となっている出血性膀胱炎では薬剤を中止する必要がありますが、治療上薬剤の中止ができない場合には、貧血に注意しながら経過観察し、輸血などの対症療法を行うことがあります。また、放射線治療後の出血性膀胱炎では出血を止めるためのカテーテル治療が行われることがあります。
出血性膀胱炎は血尿を伴う膀胱炎です。ウイルス感染、抗がん剤が主な原因となり、血尿以外に頻尿や排尿時痛、残尿感などを生じることがあります。一般的には自然治癒するといわれていますが、重篤な病気が隠れていることもあるため、血尿が出たら早めに病院を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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