記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/3/22 記事改定日: 2019/9/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
いま、体脂肪低減効果があるとして注目を集めているのが「緑茶カテキン」です。緑茶カテキンが体脂肪を減らしてくれる背景には、どういったメカニズムがあるのでしょうか?詳しく解説していきます。
カテキンとは、近年注目されているポリフェノールの一種です。
お茶の渋みを醸し出す主成分であり、日本人にとってはなじみ深い成分かと思います。カテキンの語源は、インド産の低木、ペグノキの樹液から採取される「カテキュー」と呼ばれるエキスの名から来たものといわれています。
カテキンは、分子構造の違いで大きく分けて「遊離型カテキン」と「ガレート型カテキン」の2種類があります。
このうちのガレート型カテキンには、食物中の脂肪分やコレステロールの体内へ吸収を抑える作用があることが分かっており、ダイエットの面で注目を集めています。
食べた物のなかから、脂肪分を吸収するのは小腸です。小腸ではリパーゼと呼ばれる消化酵素の働きによって、脂肪が脂肪酸とグリセリンに分解されます。
両者は小腸の内壁から吸収され、体脂肪として蓄えられたり、エネルギーとして消費されたりします。
ガレート型カテキンには消化酵素リパーゼの働きを抑える作用があるため、脂肪があまり分解されずに小腸を通過することになります。
カテキンと摂ると体脂肪が減りやすくなるとされているのは、この作用が影響しています。
また、食べ物の中に含まれるコレステロールは、胆汁がつくる「ミセル」と呼ばれる微粒子に取り込まれることによって、小腸で吸収されやすい形になります。
ガレート型カテキンにはミセル内に取り込まれたコレステロールを追い出す作用があり、この作用によって体内へのコレステロール吸収を抑えます。
緑茶カテキンの効果を最大限に発揮するために、飲むタイミングが気になるという人もいると思います。
緑茶カテキンには体脂肪を減らす働きがあることから、おそらく食事中や食後などに重点的に飲んでいる人が多いでしょう。ただ、緑茶カテキンはこのように特定のタイミングで飲むよりも、1日を通して少しずつこまめに摂るのが良いとされています。
また、十分な効果を期待するには、油分の多い食事を摂った日など限られた日だけ飲むのではなく、毎日継続することが大切です。
緑茶カテキンは飲むタイミングにこだわらず、長く続けることを目指しましょう。
近年の研究によると、緑茶カテキンには以下の効果が期待されています。
このように、カテキンにはダイエットだけでなく、さまざな健康効果も期待されていますが、緑茶をたくさん飲めば効果が出るわけではありません。
また、緑茶の摂りすぎると、神経が過敏になったり、カフェインの影響で胃が荒れたりすることもあります。
それ以外にも、タンニンの過剰摂取は鉄分の吸収を妨げますし、シュウ酸の過剰摂取は腎臓に負担をかけるリスクがあります。
WHOによる1日のカフェイン摂取限度は300mgとされているので、湯飲みのサイズにもよりますが、1日5杯程度の量であれば問題ありません。緑茶の飲み過ぎには、くれぐれも注意しましょう。
カテキンは、脂肪燃焼を促進してダイエット効果があると謳われて、「高濃度」を売りにする飲料やサプリメント商品も増えています。
確かにダイエットや疾病予防効果は期待できますが、緑茶ばかりを過剰に飲めば、かえって健康を害するおそれがあります。適度な運動やバランスの良い食事など、他の方法と併用しながら健康を増進しましょう。