記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
帯状疱疹と口唇ヘルペスなどで有名なヘルペスは、どちらも「ヘルペスウイルス」が原因で発症する病気ですが、同じ「ヘルペスウイルス」という呼び名でもウイルスと病気の中身は異なります。
この記事では、帯状疱疹とヘルペスの違いについてお伝えしていきます。
ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが原因の感染症で、帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルスによる感染症です。単純ヘルペスウイルスの感染症の代表例は、口唇ヘルペスや性器ヘルペスで、多くの場合は免疫力の低下やストレスが引き金となって発症します。
一方、水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルスは、初めて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したときには水ぼうそうとして発症します。
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節に潜伏していることが多く、加齢、ストレス、過労などで免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に到達することで帯状疱疹として症状があらわれます。
ヘルペスとは異なり、帯状疱疹そのものが他の人にうつることは通常ありません(ただし播種性帯状疱疹という全身に帯状疱疹が広がり水ぶくれをつくった状態では感染力があります)。
水ぶくれという共通の症状がある両者ですが、水ぶくれに加えて以下のような症状がでている場合は帯状疱疹である可能性があります。
ただ、一般の人が判断しにくくヘルペスは他人に感染しやすい病気です。悪化させたり他人に感染させる前に、病院で適切な治療を受けるようにしましょう。
ヘルペスと帯状疱疹はともにウイルスによる感染症であり、症状が軽快した後も体内にウイルスが潜んだ状態となって、体調が悪いときや疲れが溜まったときなどに再発を繰り返すのが特徴です。
いずれもそれぞれのウイルスに対する抗ウイルス薬の塗り薬や内服薬、点滴などによって治療が行われます。基本的な治療方法は抗ウイルス薬の種類以外は同じですが、帯状疱疹の方が病変が広範囲にわたり、洋服などの摩擦によって悪化することもあるため、さらしやガーゼなどで病変部を保護する必要があります。
また、帯状疱疹は進行すると神経にダメージを与えて激烈な神経痛を引き起こすこともありますので早急な治療が必要であり、神経を保護するためのリリカ®などの薬剤が使用されることがあります。
水ぶくれという症状が共通していることから同じ病気と勘違いしやすい帯状疱疹とヘルペスですが、2つは異なる病気です。
発症に気づいたら早めに病院で診てもらい、それぞれに対して適切な治療を受けましょう。