記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
心臓病にかかっている人は、「もし出先で何かあったらどうしよう」「心臓病の症状が出ないようにしたい」と思って、ふだんの行動の幅を狭めてしまうかもしれません。でも、心臓病の状態が安定していれば、近所に出かけるだけでなく、旅行にも行くことができます。
この記事では、心臓病を患っている人が旅行を計画するときに、考慮すべき事項を紹介していきます。
心臓病を患っていても、状態が安定していてしっかりとコントロールできている場合は、旅行に行くことができます。もし、心臓発作や心臓の手術などを経て、心臓病から回復しつつある状態ならば、旅行計画をたてる前に医師に相談しましょう。
旅行の準備のときには、以下のことを考慮しましょう。
・旅行先
・旅行保険
・飛行機
・ペースメーカー、植え込み型除細動器
・旅行を予約する際は、できるだけ便利になるように、様々な設備に近く、簡単にアクセスできる宿泊施設を選びましょう。
・十分に回復していて、激しい運動も大丈夫な状態になっていない限り、丘陵地域へ行くのはやめましょう。また、低酸素の状態は、呼吸困難や狭心症を引き起こすので高度(2000m以上)へ行くのも避けましょう。
・心臓に負担を与えてしまうので、暑すぎる、寒すぎるなどの極端な温度の地域に行くのも控えましょう。
・旅先の救急車や医者など、旅先で心臓病の症状が出た場合、どのように医療サービスを受けることができるか、事前に調べましょう。
・薬を失くした場合に備えて、服用するすべての薬の総称、量などのリストつくって、携帯しましょう。
・心臓病の症状に備え、旅行日程分と予備分の十分な薬を持っていきましょう。
・旅行保険に入り、特別な心臓病などもカバーしているか確認しましょう。
・過去と現在の健康状態を申告しましょう。情報の相違があると加入を断られる場合もあります。
・保険に加入する前に医者からアドバイスをもらいましょう。
・心臓病を患ったことがある人は、エコノミー症候群を発症する危険性が高いです。機内で運動をする(軽く足を動かす)、加圧式タイツをはくなどの工夫をすることで、エコノミー症候群(肺血栓塞栓症)にかからないよう予防しましょう。
・荷物運びや優先席搭乗など空港でのサポートも考慮しましょう。
・機内ではグリセリルトリニレートスプレーを使うのが安全です。しかし、最近の安全規制によると、手荷物に100ml以上の液体、ジェル、クリーム(薬を含んだ)の入った容器を持ち込むことはできません。100ml以上の重要な薬は着ないに持ち込むことができますが、事前に航空会社の許可、医者からの診断書を得る必要があります。
もしペースメーカーか植え込み型除細動器を使用しているのであれば、器機の証明書を持っていきましょう。また金属探知機警報を解除してもらうよう、空港スタッフにそれらの器機を使用していることを伝えましょう。人の手で検査するか、人によって金属探知機を使用してもらうよう頼みましょう。金属探知機は器機に近づけてはいけません。
心臓病を患ったからといって、すべての行動が制限されてしまうわけではありません。
心臓病の症状が起こった場合に対処できるように備えておくことと、医師のアドバイスを守ることで、できることの幅は広がります。海外への旅行だけでなく、行き先が国内の場合も参考にしてみてください。