子供の便秘で熱や腹痛、嘔吐を伴う原因とは!?危ない兆候って?

2018/6/19 記事改定日: 2018/10/17
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前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

子供が便秘になると、腹痛や発熱、嘔吐などの症状を伴うことがあります。このような便秘のときは、どのように対応したらいいのでしょうか。この記事では、腹痛や発熱などを伴う便秘の原因について詳しく解説していきます。
便秘の多くは生活習慣の改善で治りますが、中には危険な病気が隠れていることもあります。この機会に、子供の便秘についての正しい知識を得ましょう。

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子供は便秘が原因で発熱しやすい?!

眠気や体温、胃腸の働きなどのコントロールを司っている自律神経の働きが乱れると、便秘と発熱を同時が起きることがあります。

まだ成長過程で身体の機能が整っていない子供は、ホルモンバランスとともに自律神経も乱れやすく、大人よりも発熱と便秘が同時に起こりやすいといわれています。

また、便は本来なら身体の外に出されるべき排出物です。
風邪のウイルスが入ったときに身体が自己防衛のためにウイルスを攻撃するように、身体が便を毒素・敵とみなし、攻撃した結果発熱してしまうこともあり得ます。

熱が何℃になったら危険なの?

子供は便秘が原因で発熱することがありますが、多くは38℃以下の微熱です。
38℃以上の高熱がある場合には、何らかの感染症や風邪などの影響で便秘を生じている可能性があるので、病院を受診するようにしましょう。また、38℃以下であっても微熱が続いている場合には受診した方が安心です。
便秘はありふれた症状ですが、放置すると腸閉塞などを引き起こすこともありますので注意しましょう。

熱以外に、どんな症状に注意したらいい?

子供は便秘で熱を出すことがありますが、中には胃腸炎などの感染症や風邪などが原因となっていることがあります。また、虫垂炎や腸重積、腸閉塞などの重篤な病気が原因であることも考えられます。
便秘の他に以下のような症状がある場合は病院を受診するようにしましょう。

  • 強い腹痛がある
  • 嘔吐がある
  • 便に血が混じる
  • 腹部膨満感が強い
  • お腹を叩いたり、歩くとお腹の一点が強く痛む

子供の便秘は腹痛を伴うことが多い?

便秘は、便が大腸のなかで溜まった状態になり、排便が困難になる症状です。
大人だけでなく、子供が悩まされているケースも多く、子供が便秘を起こした場合にはあわせて腹痛も起こしやすくなります。

これは、大腸のなかに溜まった便が水分を失って大きく硬くなり、身体が排便しようとしても出にくくなってしまうことによるものと、考えられます。

子供の便秘 : 嘔吐を伴う場合もある?

子供の便秘が慢性化し、常にたくさんの便が大腸に溜まった状態が続いていると、消化・排出できなくなったものが嘔吐として口から排出されることがあります。

大人の便秘ではあまり見られませんが、子供は便秘の自覚がなかったり、あっても大人にうまく伝えられずにどんどん便が溜まり、嘔吐にまで至ってしまうことがあるのです。

また、単なる便秘の他にも、子供に便秘・腹痛・嘔吐を引き起こす可能性のある病気には、以下の「ヒルシュスプリング病」や「腸閉塞・腸重積症」などが考えられます。

ヒルシュスプリング病

先天性の腸の神経細胞異常によって引き起こされる病気で、重い便秘や腸閉塞、嘔吐、おなかの張りなどの症状が現れます。
新生児や乳幼児に嘔吐を伴う便秘が長引いたときに疑われ、診断には直腸造営検査・直腸政権検査などの大掛かりな検査が、また治療にも外科手術が必要な病気です。

腸閉塞・腸重積症

2歳以下の乳幼児が発症することが多く、腸が詰まったり、腸が重なった状態になって老廃物が排出できなくなり、激しい腹痛とともに便秘と嘔吐の症状が現れます。
重篤化しやすく、治療には開腹手術が必要となります。

このように、子供の便秘と嘔吐には、重大な病気が隠れている可能性もあります。
便秘と嘔吐が続いている場合には、できるだけ早く病院に連れて行ってあげてください。

子供の便秘はどうやって解消する?

子供の便秘は、大人が生活や食事の習慣を改善できるようコントロールしてあげることで、ほとんどの場合は解消できます。

まずは子供と一緒に便の状態を確認し、現在の症状と原因を理解したうえで、以下のような方法で生活習慣と食生活の見直しをして、改善を図っていきます。

子供の便秘改善のための生活習慣の改善方法
  • 身体を使って遊ばせるなど、昼間の活動量を増やして適度に身体を疲れさせる
  • 夜更かしをさせず早寝早起きを徹底させ、正しい生活リズムを身につけさせる
  • 正しい生活リズムにあわせて、身体に適切な排便リズムを覚えさせる  など
子供の便秘改善のための食生活の改善方法
  • 食事は1日3食、きちんと適量食べさせる
  • 食事の栄養バランスには注意し、便秘解消効果のある食物繊維を積極的に摂らせる
  • きちんと3食の食事が摂れるよう、油や糖の多いおやつは控える  など

また、上記の生活習慣・食生活の見直しとあわせて便の状態の変化も見ていくと、子供本人に生活習慣維持の必要性を理解させられるので効果的です。

なお、生活習慣・食生活の見直しだけで便秘の改善がみられない場合は、酸化マグネシウムやモニラック®など、緩下剤(かんげざい)と呼ばれる薬を服用することになります。

これらは便を柔らかくし、排泄しやすくする効果のある効き目が緩やかな下剤で、癖になりにくく、年単位で飲み続けることで子供の便秘を治療することができるものです。

おわりに:子供は大人に比べ、便秘が原因の腹痛、嘔吐、熱の症状が出やすい

まだ身体の機能や、症状を人に伝える能力が未熟な分、大人よりも子供の方が便秘に伴う腹痛、嘔吐、発熱などの諸症状を起こしやすい傾向が見られます。また、単なる便秘だけでなく、子供が便秘や嘔吐などの消化器官の異常を訴えたときには、重大な病気が潜んでいる可能性もあります。
排便が辛そうだったり、便秘、腹痛、嘔吐などの症状が長く続くようなら、できるだけ早く気付いて、病院に連れて行ってあげてくださいね。

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