記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
恋人同士でいれば、楽しくふざけてじゃれあったり、軽いジョークを相手に言ったり言われたりすることはありますよね。実は、それってデートDVだったりしませんか? 恋人による扱いに恐怖や不幸を感じたときは、デートDVの可能性があります。
それに、自分たちは愛し合っているから大丈夫、デートDVなんて縁がないと思っている人でも、いつ自分が被害者、または加害者になってしまうかはわかりません。
この記事では自分がデートDVの被害にあったとき、身近な人が被害をうけているとき、自分が加害者になっているかも?と思ったとき、それぞれの対処する方法をみていきます。
恋愛関係にあり、それに関して不幸を感じていたり、あるいは恋人による自身の扱いに恐怖を覚えているときは、それを我慢をする必要はありません。
恋人との関係において何が「普通」なのかを判断することは難しいことです。お互いに仲良くなり、何が互いにとって満足いくものなのかを知るまでには時間がかかることもあります。ですが、確実にいえるのは、暴力・虐待は許されないということ。
自分が危険におかされているなら、助けやアドバイスを求めていいのです。デートDVは、年齢、職業、出身地を問わず、様々なひとに起こり得るものです。女性はその危険性が高いです。若い同性愛関係にある人もまた被害にあいやすいです。
虐待は、殴る、蹴る、押す、叩く、性行為を強要する等の肉体的暴力が絡みますが、別のタイプの暴力もあるのです。
以下のような、言葉の暴力、精神的に追い詰めるといった虐待もあります。
・人前であるか否か問わず、相手を辱めるような言動を持ち出すこと
・性的なものを含め、不本意なことを強要すること
・どこにいて、誰といるのか、といったことを常に監視すること(例えば、友人と過ごしている相手に電話を何度もかけたりテキストメッセージを大量に送ること)
・相手や相手にとって大切なもの(ペット等)を痛めつけると脅迫すること
パートナーに精神、言動の面で暴力を振るう人は、のちのちその関係の中で肉体的暴力に走る可能性があります。このような行動は、仮に周りの人たちが大丈夫だと言おうと、大丈夫なことではありません。
暴力や虐待は異常であり、「軽いおふざけ」でも「仕方が無いこと」でもありません。深刻な事態です。精神的・肉体的に傷つけられると、自尊心が損なわれ、不安障害になって落ち込んだり、気分が悪くなったりします。若い人は虐待を受けると、拒食症、アルコールや薬物依存を患う可能性があります。また、性的暴行による性病罹患や妊娠のリスクもあります。
支配的、或いは暴力的な関係を強いられていて、助けを求めているときは、誰かに伝えることを恐れてはいけません。誰がなんと言おうとそれは自分の責任ではないのです。
そして、話さないよりは誰かに伝えるほうが余程いいです。飲酒しているかどうかや身に着けているものがどんなものか、などということは問題ではありません。虐待は決して正当化されません。助けを求めようにも、話すことは容易なことではないです。
誰かに、話したいことがあるのだということ、それについて助けが欲しい、或いは起きていることにどう対処すればいいのかわからないのだ、ということを伝えましょう。
相談相手としては、以下のような人たちに相談してください。
・父母やその他の信頼の置ける大人(友人の母など)
・友人
・デートDVに関する相談機関
友人が暴力や虐待にあっているのではないかと思うことがあれば、話を聞いてみて下さい、その際、焦って批判的になったり判断を押し付けたりしないようにしましょう。
何か問題はないかを聞いて、虐待を我慢する必要はないということを伝えてください。 最初は友人も、困惑したり逆上したりするかもしれませんが、気にかけられているのだということは知ってもらえますし、助けを求めることができるのだということに気づけます。
誰かに対し虐待している、その可能性があるという自覚がある場合は、相談機関に連絡する、または信頼のおける人に話しましょう。自分の振る舞いが間違っているのだと気づき、理解することが(暴力を)やめることへのはじめの一歩です。
やめるにも人の助けが必要になるかもしれません。虐待的な行動を誘発するもの、たとえば過去に起きたことに対して抱く感情は、とても強い場合があります。人間は物事を自らの手で即座に止める、ということをいつでもできるわけではありません。だからこそ、誰かに話すことが重要です。
どんなに、好き同士でも、恋人を信頼していても、誰もがデートDVの被害に遭う可能性があります。ここでみてきたように、デートDVの被害を受けてる場合も、自分がデートDVをしているのではないかと思う人も、ほかの人の助けを求めていいということを忘れないようにしましょう。