記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/8 記事改定日: 2020/2/13
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
病院では動悸の治療で薬を使うこともありますが、動悸の薬にはどんな副作用があるのでしょうか。また、病院で処方される薬以外にも使える薬はあるのでしょうか。
薬の副作用の情報とあわせて解説していきます。
動悸とは、運動後などではないにも関わらず、通常よりも心臓の鼓動を強く早く感じる症状のことです。
動悸は日常的に良く起こりうる症状であり、ストレスや興奮、緊張を感じたときに交感神経が刺激されて心拍数が上昇することで引き起こされることも多々あります。このような動悸は一時的なもので、気持ちが落ち着けば自然と治まっていきますが、なかには不整脈や狭心症などの心臓の病気によって動悸を感じることがあるので、あまり軽視はできません。また、不整脈による動悸は鼓動が早くなるだけでなく、「脈が飛ぶ」ような不快な感覚に襲われることもあります。
その他、貧血や低血糖、女性の場合はバセドウ病(甲状腺機能亢進症)や更年期障害によって動悸を感じることがあります。
動悸や息切れの治療のために、精神安定剤やβ遮断薬などが処方されることがありますが、これらの薬には以下の副作用のリスクがあります。
動悸に効く市販薬としては、救心®や牛黄カプセル®、ユンケル心臓薬®などがありますが、多くは動悸を鎮める効果のある漢方薬の成分が配合されています。
もちろん、これらの市販薬で症状が改善することもありますが、動悸は適切な治療を続けないと脳梗塞など重篤な合併症を引き起こすおそれがあります。また、動悸は心不全や致死性不整脈に進行するタイプのものも少なくありません。
漫然と市販薬を使用することで、これらの病気の発見が遅れることもありますので、動悸に悩んだ場合はまず病院で診察を受け、動悸の原因を明らかにしてもらうようにしましょう。
また、漢方成分を含む市販薬は他の薬との飲み合わせによって思わぬ副作用を生じことがありますので、服用する際は必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
体質にもよりますが、漢方薬は西洋薬と比べ、副作用が軽度である場合が多いです。東洋医学では、動悸は「心悸」といい、五臓でいう「心」の機能異常や「心」が阻害されたことで動悸が起こると捉えます。また考えられる原因によって、適した漢方薬は以下のように異なります。
心陽(心拍を担う)の不足により血流が悪化したことで、動悸や倦怠感、めまい、不安感が引き起こされるタイプです。このタイプに有効とされる漢方は心脾顆粒(しんぴかりゅう)や麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)で、貧血や倦怠感、胃腸虚弱、不眠などを緩和します。
心血や心陰(熱を冷まし、潤す働きがある)の不足によって体内に熱がこもり、動悸やほてり、寝汗、不眠が起こるタイプです。
このタイプに有効とされる漢方は天王補心丸(てんのうほしんがん)で、動悸や息切れ、不眠、不安感などに効果が期待できます
心気や心陽の不足によって、血の巡りが悪くなったために動悸が起きているタイプです。このタイプに有効とされる漢方は冠元顆粒(かんげんかりゅう)などで、中年以降あるいは高血圧気味の人の動悸やめまい、頭痛、肩こりなどを改善する効果があるとされます。
心火(しんか)とは、心気や心陽が興奮した状態を指します。神経が激しく興奮し、心神が乱れたことで動悸や心拍数の増加、発汗、血圧上昇、不眠などが起こるタイプです。このタイプに有効とされる漢方は牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)で、心臓の不調や熱感、イライラ、胆のうの不調などに効果を発揮します
代謝できなかった水分が「心」の機能を阻害するために、冷えや疲労、むくみ、動悸が起こるタイプです。このタイプに有効とされる漢方は苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)で、動悸やめまい、ふらつき、息切れ、頭痛などに症状を緩和します。
先述の通り動悸の薬で副作用が起こることがありますが、逆に薬の副作用として、動悸が起こることがあります。動悸を引き起こす可能性のある薬は以下の通りです。
動悸の薬には西洋薬や漢方薬などさまざまな種類がありますが、それぞれで起こりうる副作用は異なり、体質や症状、原因によって適した薬は異なります。
自己判断で市販薬や漢方薬を使うのではなく、まずは病院に相談するようにしましょう。
また、別の治療薬が原因で動悸が出てしまうこともあります。薬を飲んでから動悸などの症状が出るときは、担当医に必ず報告をしてください。
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