記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
辛い腰痛と一緒に、発熱の症状が出た経験はありませんか?
腰痛と発熱を併発しているときは、整形外科的な原因ではなく、何か別の病気が潜んでいるかもしれません。
今回は、腰痛と発熱の症状がある場合に、発症が考えられる病気について解説していきます。
頭痛、寒気、倦怠感など風邪のような症状と一緒に腰痛と発熱の症状が出ている場合は、インフルエンザにかかっている可能性があります。
インフルエンザが原因で腰痛が起こる理由としては、以下のようなものが考えられます。
インフルエンザウイルスが体内に侵入すると、これを退治しようと身体からプロスタグランジンという物質を作り、血流を促進・発熱を促します。
プロスタグランジンは痛みの原因物質でもあるため、腰付近の大きなリンパ節と反応して周辺に炎症を起こし、この結果腰痛を引き起こすケースがあるのです。
インフルエンザによって長期間、または激しい咳の症状が現れている場合は、咳が原因で瞬間的に繰り返し筋肉が緊張・疲労したことで、背中や腰の組織を痛めてしまうことがあります。
また、もともと腰を傷めていた場合、インフルエンザの咳が響いて腰痛が悪化するという可能性も考えられます。
インフルエンザのときは横になって安静にすることが推奨されますが、長時間同じ姿勢で寝たり、休んだりしていると血流が悪くなり、筋肉が硬直して痛むことがあります。
横になるときは同じ姿勢でいること、そして腰に負担のかかるうつ伏せの姿勢を避けて、横を向いたり、身体を丸めて寝るなどして痛みが出ないよう工夫してください。
腰痛のなかには、身体の背中側・腰に近い位置にある腎臓が病気になり、腎臓が痛んでいるのを脳が勘違いして、腰痛と認識してしまっている場合があります。特に、腰痛と一緒に発熱の症状が現れている場合は「腎盂腎炎(じんうじんえん)」という病気の可能性が高いです。
腎盂腎炎は、尿道から膀胱・尿管を通って侵入したばい菌が腎臓で繁殖して炎症を起こす病気で、背部を殴られたような痛み、発熱、吐き気などの症状が出るものです。1週間程度の安静と抗生物質の投与で治癒しますが、男性よりも尿道の短い女性が発症しやすいという特徴があります。
なお、腎盂腎炎と診断されたのに1週間以上良くならない、何度も発症を繰り返す場合は、精密検査のうえさらなる治療が必要になります。
膠原病は免疫疾患の一種で、全身の細胞同士を結び付ける組織である膠原繊維に異常が起き、誤って自分の身体を異物と認識して攻撃してしまう病気の総称です。
代表的なものでは関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などがこれにあたり、いずれも腰痛・発熱を含む以下のような初期症状が現れます。
膠原病の進行によって関節や臓器の変形・障害が起こると、元に戻すことはできません。腰痛や発熱など、できるだけ早期に発見して病気の進行を食い止め、症状を和らげる治療を行うのが改善のカギになります。
腰痛と一緒に、上記のような膠原病が疑われる症状が出てきた場合には、できるだけ早く内科の病院を受診してください。
腰痛と一緒に発熱など風邪のような症状や、激しい背中の痛みがある場合は、ただの腰痛ではなく、他の病気が原因である可能性があります。今回ご紹介したインフルエンザ・腎盂腎炎・膠原病のいずれも、早期の診断・治療が推奨される病気です。初期の症状の軽いうちに治療した方が回復も早いので、発熱がある場合はただの腰痛と考えず、できるだけ早く病院で検査してもらいましょう。