記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/18 記事改定日: 2020/6/1
記事改定回数:2回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肝硬変になると、肝臓が硬くなり、機能が失われてしまいます。もし末期の肝硬変になってしまった場合は、どんな症状が起きるようになるのでしょうか。また、有効な治療法はないのでしょうか。
この記事では、肝硬変の症状や治療法、治療を受けるうえで心がけることについて解説していきます。
肝硬変とは、慢性肝炎によって長年肝細胞が壊死と再生を繰り返し、傷を修復するときにできる「線維(コラーゲン)」が肝臓全体に広がることで、肝臓が硬くなった病態です。
肝硬変は、重症度によって以下のように分類されます。
肝硬変による症状が現れるのは、グレードB〜Cの段階です。具体的には、以下の症状が現れます。
肝硬変が末期になると、食道胃静脈瘤が破裂して消化管出血を起こしたり、肝不全や肝臓がんに発展するおそれがあり、いずれも死因となり得ます。肝硬変は、末期になる前の対処が重要です。
肝硬変は末期まで進行すると、命に関わる様々な合併症を引き起こします。そのため、肝硬変を発症したときは進行しないように、毎日の生活で以下にような点に注意する必要があります。
また、肝硬変と診断された場合は、肝機能の状態をしっかり把握するために定期的な検査を受ける必要があります。必ず医師の指示に従って通院を続けましょう。
グレードB以降の非代償性肝硬変では、C型肝炎などの原因疾患への抗ウイルス治療を行うと肝機能がさらに悪化する恐れがあるため、腹水や肝性脳症、食道胃静脈瘤などの症状への対症療法が中心となります。
肝硬変の末期はもはや対症療法では対処が追いつかないため、生体肝移植をするしかありません。しかし、国内ではドナーが不足しているためあまり実施されていないのが現状です。また高齢の末期肝硬変患者は、体力面で実施が難しい面もあります。
ただ、こうした末期の肝硬変患者を対象に、肝臓に付着した線維を溶かす治療薬の実用化が進められています。今は臨床試験の段階ですが、2014〜16年に重症の肝硬変患者7人にこの治療薬を点滴投与したところ、このうち4人の肝機能に初期状態までの改善が見られたそうです。
この治療薬には、肝細胞の周りの線維を溶かし、細胞の再生能力や機能を回復させる効果があると考えられており、5年以内の実用化が目指されています。
肝硬変の末期には、全身に著明なむくみが生じたり、黄疸による皮膚のかゆみなど様々な症状が引き起こされます。また、食道静脈瘤の突然の破裂によって大量吐血が生じたり、体内のアンモニア濃度が高くなることによって肝性脳症を発症するなど、生命の危機が突如訪れることもあります。
さらに、厳密な食事制限も必要であり、自宅で療養したり、ターミナルケアを行うのは、患者本人だけでなく家族にとっても非常に労力のいることです。
しかし、家族の残された時間を共に過ごしたいと願う思いや、患者本人の希望を尊重する必要もあります。
病院から在宅への療養へうつるときには、介護保険の認定を受け、ヘルパーや訪問看護など利用可能なサービスは積極的に取り入れるようにしましょう。また、緊急時に受診できる医療機関を探しておいてください。
いざ在宅での療養が始まったら、なるべく患者のペースに合わせた生活を送るようにし、むくみや黄疸などの症状がひどくなっていないか、会話が成り立たない、ぼんやりしているなど意識障害がないか、などをよく観察し、何らかの異常を感じた場合はなるべく早く病院を受診するようにしましょう。
末期の肝硬変になると、消化管出血を起こしたり肝不全に陥ったりと、命に関わる症状が出てくるようになります。
今は肝移植以外に有効な治療法はありませんが、遠くない将来に線維を溶かす治療薬が実用化され、重度の肝硬変患者も症状の改善が見込める可能性はあります。その日まで根気よく対症療法を続けていきましょう。
まだ末期まで進んでない場合は、医師の指示にしたがい日常生活を改め、適切な治療を続けていきましょう。
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