記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
補聴器にはたくさんの種類があり、値段も幅広いため、「どんなものを買えばいいのかわからない」という方も非常に多いです。そこで知っていただきたいのが、「補聴器相談医」という補聴器に関する専門医。以降では補聴器専門医の担う役割や、相談するメリットなどについてご紹介していきます。
補聴器相談医とは、難聴の患者さんが適切な補聴器を利用できるようにサポートする、聴力障害と補聴器の両方を熟知した専門医です。一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会が認定した耳鼻咽喉科専門医の中で、福祉医療・成人老年委員会が作成した講習カリキュラムの全てを履修し、認定された者が補聴器相談医となります。
補聴器相談医は、耳の聞こえで不自由を感じている人を対象に聴力検査や診察を行い、難聴の種類を診断・治療を実施します。治せない難聴であれば、本当に補聴器をつけた方がいいのかを判断し、必要であれば信頼できる補聴器販売店を紹介します。万が一販売店で選ばれた補聴器が適切なものでなかった場合は、販売店を指導します。
また、補聴器購入後のサポートも行っており、聴力が悪化していないかの経過観察や、補聴器の正しい使い方についての指導も行います。
現在では、4000名を超える耳鼻咽喉科専門医が補聴器相談医に認定されており、全国の病院やクリニックで勤務をしています。お住まいの地域の補聴器相談医の勤務先を知りたい方は、日本耳鼻咽喉科学会のホームページの補聴器相談医名簿をご参照ください。
国民生活センターは、近年、補聴器購入を巡るトラブルが増加傾向にあると注意を呼びかけています。補聴器にはさまざまな種類があり、値段にもかなりの幅がありますが、知識や選定技能が不十分な販売店や不適切な医療機関で補聴器を購入すると、ちゃんと聞こえない補聴器や耳の形に合わない補聴器、過度に高額な補聴器を買わされてしまう恐れがあります。
補聴器は高ければ高いだけモノが良いというわけではなく、ご本人の難聴の程度や耳の形状、用途に沿ったものを購入することが一番大切です。補聴器を購入する前には、なるべく補聴器相談医のいる医療機関や、補聴器外来のある医療機関を受診するようにしましょう。
補聴器は高額な医療機器のため、不適切な販売店やクリニックでの購入はおすすめできません。補聴器を買う予定のある方は、購入後のトラブルを防ぐためにも、知識を身につけた補聴器専門医のもとを一度受診されることをおすすめします。