記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日本国内の潜在患者数は300万人以上とも推定される「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。睡眠時に呼吸が止まってしまい、いびきが始まったり止んだりを繰り返すのが特徴ですが、この病気が脳梗塞などにつながるリスクがあることをご存知ですか?詳しくは以降で解説します。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まったり、低呼吸になったりする病気です。Sleep Apnea Syndromeの頭文字から「SAS」と呼ばれます。
医学的には、10秒以上の無呼吸状態が、一晩の間に30回以上(あるいは1時間に5回以上)起こる場合に睡眠時無呼吸とみなされます。ただ、寝ている間のことは本人は覚えていないため、日中の症状や寝室が同じご家族やパートナーからの話が気づくきっかけとなります。周囲からの情報も参考に、以下の項目をチェックしてみましょう。
重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は、健康な人と比べて死亡率がおよそ4倍も高いというデータがあります。
これにはいくつか理由があり、まず一つめが日中の強い眠気からくる居眠り運転による事故です。また、睡眠時に呼吸が止まることで血中の酸素が不足することで、動脈硬化や不整脈を起こしやすく、さらに睡眠不足によって血糖値や血圧が上昇することから、高血圧や糖尿病の発症リスクが高くなることも理由の一つです。
そして、SAS患者は健康な人と比べ、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症リスクが約3倍、脳梗塞などの脳血管疾患の発症リスクが約3〜5倍に昇るといわれています。
SASと脳梗塞の関連性に関していえば、まずSAS患者は無呼吸によって、夜間の脳の血流量が健康な人のおよそ半分にまで減っているとされています。つまり血液がドロドロして固まりやすく、脳血管が詰まりやすいために、脳梗塞を起こしやすい状態にあるのです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因には、肥満による首回りの圧迫や扁桃腺肥大、アデノイド肥大、慢性鼻炎、骨格の問題などさまざまなものがあります。
欧米のSAS患者では肥満傾向が強いですが、日本国内ではやせ型の患者が多く、肥満というよりももともと顎が小さく、上気道が狭くなりやすいことが原因のケースも少なくありません。
いびきがひどいなどSASが疑われる場合は、睡眠外来などの専門外来を受診しましょう。睡眠外来以外に、呼吸器科や循環器科などの内科や耳鼻咽喉科でも、SASの診断や治療を行っている場合があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は単にいびきがうるさいというだけでなく、睡眠時に呼吸が停止してしまうために、脳や心臓などの臓器や血流に悪影響を与える点が問題です。ご紹介したように死亡リスクや疾患リスクの高い病気なので、もしかして?と思ったら早めに専門外来で検査を受けましょう。