記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/9 記事改定日: 2019/9/11
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
禁酒の効果といえば、脂肪や体重減少などのダイエット効果が思い浮かびますが、その他にはどんなメリットがあるのでしょうか?肝臓への影響や、飲酒と髪の関連性などをご紹介していきます。
あまり知られていませんが、飲酒は抜け毛の原因の一つといわれています。摂取したアルコールは肝臓で分解されてアセトアルデヒドという物質になりますが、アセトアルデヒドには血中の酸素や栄養素を排除する性質があるため、髪や頭皮に栄養が行き届かなくなる恐れがあるのです。
また、アルコールは分解される際に、髪の原料となる「シスチン」というアミノ酸を消費します。このため、新しい髪が生えにくくなり、薄毛が進行する恐れもあるといわれています。
禁酒すると、少なくともこういった飲酒による髪への影響を防ぐことはできます。ただ、禁酒によるストレスも髪にはよくないので、禁酒が難しいという方は適度な飲酒量を守り、週に1~2日は休肝日を設けるようにしましょう。
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肝臓の負担を減らすために休肝日を設けている方も多いと思います。ただ、お酒を過剰摂取する習慣のある人の場合、1日や2日の禁酒だけでは肝機能の回復は期待できません。
肝臓のダメージをあらわす指標の一つに「γ(ガンマ)-GTP」という数値があります。この数値は、肝細胞が壊れたときに高くなります。また、血液中の物質が半分の濃度に減少するまでの期間を「半減期」と呼ぶのですが、γ-GTPの半減期はおよそ2~3週間とされているため、それと同じ期間禁酒を続けなければ数値は下がらないのです。
ただ、休肝日を設けても意味がないというわけではありません。たとえば、海外の研究によって「週に3〜5日程度の休肝日は、アルコール性肝臓病の予防に効果的」であることがわかっています。5万人以上の中高年を対象としたこの研究結果によれば、お酒をほぼ毎日飲んでいる人は、週に2~4日飲む人と比べて、アルコール性肝臓病の発症率が約3.7倍であったそうです。また、20代の頃に過度の飲酒習慣のある人でも、その後節酒に努めれば発症率は1.7倍にまで低下したことがわかっています。
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過度の飲酒はもちろん厳禁ですが、実は適量の飲酒にはメリットもあります。全くお酒を飲まない人とお酒を一定程度飲む人の死亡率を比べたところ、後者の方が死亡率が低かったということがわかっているのです。
これは、アルコールに善玉コレステロール(HDLコレステロール)の作用を向上させ、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の作用を下げる効果があり、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞の発症リスクを低下させることが関連していると考えられています。
なお、適量のお酒とは1日あたり20~40g、日本酒でいえば1~2合程度です。毎日5合以上飲んでしまうと、脂肪肝などの発症リスクが高まるので、飲み過ぎには十分注意しましょう。
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禁酒が難しいという人は、まずは飲酒量をセーブするところから始めてみましょう。