消化不良で下痢や腹痛を起こす、運動亢進性下痢の対処法とは!?

2018/8/6 記事改定日: 2018/9/27
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

何らかの理由で食べ物を胃でうまく消化できなくなり、胃が位置する上腹部・食道などに痛みや不快感を生じる消化不良は、下痢をも引き起こすことがあります。
今回は消化不良によって起こる下痢について、発症したときの腹痛の有無や対処方法、病院に行くべきかどうかの見極め方を解説します。

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消化不良の下痢を引き起こす、運動亢進性下痢とは?

消化不良の原因が食べすぎや飲みすぎ、ストレスや自律神経の乱れであることを踏まえると、消化不良による下痢は運動亢進性下痢と考えられます。

運動亢進性下痢は、ストレスや暴飲暴食で自律神経が乱れたことにより腸の働きが過剰になり、便の通過スピードが速くなってしまう状態です。便が腸を通過するスピードが速いと、便の水分を腸が吸収できなくなるため、便が多量の水分を含んだまま排出され、結果的に下痢になってしまうというわけです。

また、このような消化不良が原因の運動亢進性下痢では、下痢とともに腹痛を伴いやすいのも大きな特徴といえます。

消化不良による下痢にはどう対処すればいい?

消化不良が原因と思われる下痢が起こったら、以下のような対処を取りましょう。

脱水症状を防ぐため、まずはしっかりと水分補給を
下痢が起こると通常より多量の水分が体外に排出されるため、気づかないうちに脱水症状を起こしやすくなります。
このため、水かぬるま湯、またはスポーツドリンクなどを積極的に飲むようにして、十分な水分を補給すべきでしょう。
食事の内容と量を見直し、胃腸の疲れを取って休ませる
消化不良は、心身と胃腸そのものの疲れにより、消化機能が低下している状態です。
このため、まずはゆっくりと心身を休めて自律神経を整えるとともに、食事の内容と量を見直して胃腸を休める必要があります。
食事は脂質と刺激物を控え、あっさりとした鶏肉や白身魚、豆腐、おかゆやうどんなど消化の良いタンパク質・炭水化物を中心に腹八分目に摂るのが良いでしょう。
健胃作用のある市販薬を飲んで、様子を見る
消化を助ける酵素が入ったものや、健胃消化作用のある生薬を含んだ胃薬など、市販薬を服用してみるのも良いでしょう。
ただし、下痢の症状によっては市販薬を飲むべきでないケースもあるので、市販薬を購入するときは薬剤師か登録販売士に症状を相談して、一緒に選んでもらってください。

消化不良の子供におすすめのレシピとは

子供が消化不良で下痢などの症状に苦しんでいる場合、なるべく消化がよく、胃腸の負担にならないメニューを選ぶようにしましょう。ここでは、消化不良のお子さんでも喜んで食べてくれるおすすめメニューを3つご紹介します。

トマトリゾット

ニンジンや玉ねぎ、ベーコンなどお好みの具材を細かくみじん切りにします。なるべく消化が良くなるようにいつもより細かめに刻むのがポイントです。

刻んだ具材は、そのままフライパンに投入して炒めます。ベーコンの油が出てくるので余計なサラダ油などを足す必要はありません。野菜にも火が通ったら、適量の水とコンソメを投入し、煮立たせたら柔らかめに炊いたご飯と投入。ご飯がくたくたになるまで煮込み、ケチャップで味を調えたら完成です。

茶碗蒸し

エビやキノコなどお好みの具材を細かく刻み、あらかじめフライパンで炒めて火を通しておきます。卵を溶いて適量のだし汁と合わせ、具材を入れた容器の中に卵の溶き汁を濾し器で濾しながら投入します。あとは、蒸し器で15分ほど蒸せば完成です。
お子様の好みに合わせて砂糖を多めに入れるなど工夫してみてください。

リンゴ寒天

リンゴは皮をむいて薄切りにし、甘さを調節した砂糖水で柔らかくなるまで煮込みます。ブレンダーで一気に撹拌し、ペースト状にします。ブレンダーがない場合やミキサーやフードプロセッサーでもよいです。粉寒天を分量通りに溶かして液体にし、適量の水にペースト状になったリンゴを混ぜ合わせて、更に液体に溶かした寒天を投入し、冷蔵庫で冷やして固めれば完成です。
消化不良の時もおやつが食べたいというお子様におすすめのレシピです。

こんな状態の下痢だったら、病院で診てもらおう!

消化不良が原因の下痢は、適切に心身と胃腸を休めておけば、通常なら1週間程度で回復するケースがほとんどです。
しかし、1週間以上の長期にわたって慢性的に下痢が続く場合や、以下のような症状が出ている場合は、すぐに病院で診てもらう必要があります。

  • 下痢の程度が、これまでに経験したことがないくらい激しい
  • 下痢以外に吐き気や嘔吐、発熱の症状も伴っている
  • 排便をした後も、排便前のような腹痛が続く
  • 便に血が混じっている
  • 尿が出ない、口が異常に乾くなどの脱水症状が出ている
  • 症状が改善するどころか、どんどん悪化している気がする
  • 同じものを食べた他の人も、同時に下痢を発症したようだ

長引く激しい下痢は消化不良ではなく、ウイルス性の胃腸炎や、食中毒の可能性もあります。
放っておくと命にかかわるリスクもありますので、1週間以上長引くようなら、すぐに病院で医師による検査・治療を受けてくださいね。

おわりに:消化不良で腹痛を伴う下痢になることも!まずは心身を休ませて対処を

消化不良が原因で腸が亢進状態になると、便が腸を通過するスピードが速すぎて水分を吸収できなくなり、腹痛を伴う下痢になることがあります。消化不良による下痢を発症したら、まずは原因となる心身と胃腸の疲れを取るため、生活と食事を見直し休息を取ってください。ただし適切に心身と胃腸を休ませ、市販薬を使用しても下痢が良くならない場合は、消化不良以外の原因が考えられますので、すぐ病院で診てもらいましょう。

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