2型糖尿病になってしまったら?~効果的なセルフケア~

2017/3/27

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

「2型糖尿病と診断された・・・」というあなたへ朗報です!
自らが健康に気を配ることで、糖尿病を治りやすくしたり、合併症のリスクを最小限に抑えたりすることができるんです。

今回の記事では、「2型糖尿病のセルフケア」についてご紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

糖尿病専門医と定期的に連絡をとる

2型糖尿病は長期的な病気なので、糖尿病専門医と定期的に連絡をとるようにしてください。糖尿病の影響を受ける可能性がある、目、足、神経、腎臓を定期的にチェックする必要があります。
また、少なくとも年に一度は定期的に検査を受けて、糖尿病がどの程度コントロールされているか、確認するようにしてください(血液サンプルを腕からとる「HbA1c検査」で、赤血球にどれくらいのグルコースがあるかを測定し、過去2〜3ヵ月間の血糖値を測ります)。

健康的な食事

健康的でバランスのとれた食事は、糖尿病の場合は非常に重要です。
ただし、特定の食品群を完全に避ける必要はありません。規則正しく食べて健康的な選択をする限り、いろいろな食べ物を楽しむことができます。

食事のポイント

・調理するときは脂肪や食塩、砂糖を減らし、繊維の量を増やす

・規則正しく食べ、パスタなどのデンプン質の炭水化物だけでなく、多くの果物や野菜をとるようにする

定期的な運動

身体を動かすと血糖値が下がるので、定期的に運動することも大切です。
目安として、サイクリングや早足でのウォーキングなど、中強度(心拍数を上げ、呼吸を早くなる運動。話せても歌は歌えないレベル)の有酸素運動を少なくとも毎週2時間30分は行うようにしてください。また、それ以上の激しい運動もさらに効果的だと考えられています。ちなみに、定期的な運動で体重を約5%減らすと、2型糖尿病にかかる確率を50%減らし、若くして死亡する確率も30%にまで落とせます。

なお、新しい運動を始める前に、糖尿病専門医に相談してください。血糖値を安定させるためにインスリン治療や食事療法を調整しなければならない場合があります。

禁煙する

糖尿病の場合、心臓発作や脳卒中などの発症リスクだけでなく、喫煙していると、さらに肺がんなどの重大な病気のリスクも増加してしまいます。

飲酒量を制限する

飲酒量によっては高血糖や低血糖につながったり、インスリン治療にも影響することがあります。糖尿病で飲酒の習慣がある人は、1日に推奨されている量を超える飲酒は避けてください。空腹時に飲むこともNGです。

ワクチンを接種する

2型糖尿病の人は、インフルエンザ予防のために毎年秋に予防接種をすることが望ましいです。また、肺炎球菌ワクチン接種も推奨されています。

足のケア

糖尿病は足の血液循環不良と関連しており、血糖が神経を傷つけることで、足の潰瘍や軽度の傷や感染などのトラブルのリスクが高まります。
足の神経が傷ついている場合、潰瘍や傷に気づかない恐れがあります。定期的に爪を切ったり足をチェックするなど、こまめな手入れを忘れないようにしましょう。

定期的な目の検査

2型糖尿病の人は、年1回、糖尿病性網膜症の検査をすることが望ましいです。
糖尿病性網膜症は、目の細い血管が損傷する症状で、長期間の糖尿病で血糖値が高すぎると起こります。放置すると、最終的に失明につながる恐ろしい病気です。

妊娠スケジュールの管理

「糖尿病だけど、赤ちゃんを産みたい」という人は、糖尿病専門医と相談するのがおすすめです。計画的に妊娠し、血糖値をコントロールすれば、赤ちゃんの先天性欠損症のリスクを減らせます。血糖値は、特に妊娠前と妊娠8週目まで厳密に管理する必要があります。

また、下記の点にも注意しましょう。

薬をチェックする

2型糖尿病の治療薬の中には、赤ちゃんに有害なものもあります。必要に応じて、インスリン注射に切り替える場合もあります。

多くの葉酸錠剤を服用する

葉酸は、赤ちゃんが脊椎の病気(二分脊椎)を発症するのを予防します。糖尿病の女性は、毎日5mgの服用が望ましいです。

目の検査をする

すべての糖尿病患者に網膜症のリスクがありますが、特に妊婦の場合は、目の血管に余分な圧力をかける可能性があるので、妊娠する前に網膜症を治療することが重要です。

「シックデイ・ルール」を守る

糖尿病患者が、体調を崩したり、ほかの病気にかかったときの対処法は「シックデイ・ルール」と呼ばれています。内容は個人によって異なりますが、シックデイ・ルールに含まれる一般的な措置には、次のようなものがあります。

インスリンを服用し続ける

病気のときに治療を止めないことが非常に重要です。一時的に投与量を増やす必要があるか検討する場合もあります。

血糖値を頻繁に検査する

少なくとも1日4回の検査がおすすめです。インスリン摂取後も血糖値が高い場合は、ケトンレベルの検査も必要です。糖尿病ケアチームに相談してください。

水分をしっかりとる

砂糖の入っていない飲み物をたくさんとるようにしてください。

食事をする

体調が良い場合は固体の食べ物を食べてください。牛乳、スープ、ヨーグルトなどの液体炭水化物も摂取しやすくおすすめです。

次のような場合も糖尿病専門医に相談してください。

・治療法を変更するべきかわからない
・糖尿病性ケトアシドーシスの症状がある
・他に気になる点がある

おわりに:生活習慣の改善や定期検診を!

いかがでしょうか。2型糖尿病の人は、生活習慣の改善や定期的なチェックで血糖値をコントロールすることが、症状悪化や合併症を防ぐカギとなります!ぜひ実践してみてくださいね。

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