記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
感染箇所で激しいかゆみを引き起こす「毛じらみ」。この毛じらみの感染原因は、子供と大人でどう違うのでしょうか?それぞれの代表的な感染経路について、解説していきます。
毛じらみ(毛じらみ症)とは、ケジラミという吸血性の昆虫が寄生したことで発症する病気です。発症すると、感染箇所(主に陰毛)での激しいかゆみや、下着に付着した茶色い粉末(ケジラミの糞便)などが現れます。
ケジラミは、メスの成虫で1.0~1.2mm、オスの成虫で0.8~1.0mmという虫体の小さなシラミの一種です。大人の場合、このケジラミは主に性行為を通じて、陰毛と陰毛が接触することで感染します。
なお、ケジラミは陰毛以外にも肛門周辺や胸毛、腋毛、太もも周辺の毛、さらには髪の毛などに寄生することがありますが、基本的な寄生箇所は陰毛です。ケジラミは宿主から一度離れると、長くても48時間以内しか生き続けられず、また1日10cm程度しか移動できません。そのため、基本的には性交時の陰毛の接触が感染経路となります。
ケジラミの主な感染経路は性行為ですが、まれに性行為をしなくても感染することがあります。そのひとつが、親子間など家庭内での接触感染です。ケジラミに寄生されている保護者が、子供と密なスキンシップをすることで、髪の毛や眉毛、まつ毛などに感染が広がることがあります。まつ毛に感染した場合は、目やにのようにも見えます。
また、直接的な接触以外にも、まれに毛布やタオルなどの寝具、温泉や銭湯での脱衣かごやロッカーの共有を通じて間接的に感染することもあります。
保育園など子供たちが集団生活する場で、しばしば流行するのが「アタマジラミ」です。ケジラミと同じシラミ目の一種で、名前の通り、頭の髪の毛に寄生するという特徴をもちます。
アタマジラミの主な感染経路としては、以下のものが挙げられます。
アタマジラミに寄生されても、初期の頃は気づかないことも珍しくありません。しかし、アタマジラミの吸血時に注入される唾液の成分に対するIgE抗体ができてくると、皮膚症状やかゆみといったアレルギー症状が見られるようになります。
ただ、寄生された初期でも、成虫や卵の存在は確認できることがあります。アタマジラミの卵は側頭部や後頭部、耳の後ろの毛根付近の髪の毛に付着していることが多く、灰色の楕円形で、大きさは0.5mmくらいです。セメントのようなもので髪の毛に固定されているので、指でつまんでも簡単に取り除くことはできません。
成虫の大きさは2~4mmほどで、透けた灰色のような色をしています(吸血直後は赤っぽい色をしています)。
【 豊島区保健所 の情報をもとに編集して作成 】
毛じらみは主に性行為を通じて、陰毛と陰毛が接触することで感染する病気です。しかし感染者が子供と密なスキンシップをとると、子供の髪やまつ毛などに感染を広げてしまう恐れがあります。
ただ、子供が頭をかゆがっており、フケのような卵が散見される場合はアタマジラミに感染した可能性も考えられます。いずれにしても感染を広げないための処置が必要なので、こうした異変に気づいたら皮膚科などの専門外来を受診してください。
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