記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2022/3/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「疲労臭」という独特の体臭をご存知ですか?疲労臭のおもな原因はその名の通り「疲労」ですが、体の疲労だけが原因ではありません。この記事では、疲労臭の臭いの特徴と原因、発生の仕組みについて、対処法もあわせて解説します。
疲労臭はツンとした臭いが特徴の体臭で、発生に男女は関係ありませんが、女性が気になりやすいといわれています。疲労臭は疲れがたまったときに出る体臭のことを指し、汗臭や加齢臭などとは臭いの特徴が違います。
たとえば、汗臭の原因は汗や皮脂などの分泌物が分解されたときに発生する雑菌ですが、疲労臭の原因は「体内から出るアンモニア」です。そのため、アンモニア特有のツンとした臭いがします。
通常、アンモニアは肝臓で尿素に分解されて尿として排出されるため、蓄積することはありません。しかし、疲労やストレス、肥満、飲酒などによって肝臓の働きが弱くなっていると、アンモニアを十分に分解できなくなる場合があります。
分解できずに残ったアンモニアが皮膚から排出されたり、汗と一緒に排出されたりすることで「疲労臭」が発生します。女性の疲労臭が気になりやすいといわれているのは、疲労臭の原因であるアンモニアと化粧品などに含まれる化学成分が反応するためといわれています。
また、肝臓の働きが弱くなっていなくても、便秘をしているときは疲労臭が発生しやすいです。これは、排出されずに腸内に溜まっている「宿便」がアンモニアを発生させるためと考えられています。
疲労臭の原因は体や心の疲労のため、まずはしっかりと休息をとり、こまめにストレス発散することが大切です。また、睡眠や食事など、規則正しく健康的な生活を心がけることも疲労やストレスの回復に役立ちます。肝臓に負担をかけないようにお酒の飲み過ぎに注意し、便秘予防のためにも食物繊維をしっかり摂るなどして腸内環境を整え、なるべく湯船につかって血流を促すようにしましょう。
オルニチンやクエン酸といった、疲労の回復を助ける成分を摂ることも、疲労臭の予防に役立つ場合があります。オルニチンは、肝臓でアンモニアを尿素に分解するときに必要な成分です。オルニチンが多い食品としてはまずシジミが挙げられますが、ブナシメジなどのきのこ類、チーズ、キハダマグロにも多く含まれています。きのこ類は食物繊維も多く便秘対策にも役立ちますので、積極的に食事に取り入れましょう。
クエン酸は、クエン酸回路を活性化することで疲労回復を促します。クエン酸は、レモンや梅干し、黒酢などに多く含まれています。どれも毎日の食事に取り入れやすい食品ですので、うまく取り入れてください。
ただし、サプリメントなどを過剰摂取したり、栄養を多く摂取しようと食べ過ぎたりすることはよくありません。また、シジミやキハダマグロなどの魚介類やチーズなどの乳製品は、調理方法によっては塩分や脂質の過剰摂取につながりやすく、梅干しの食べ過ぎも塩分の過剰摂取につながります。あくまでも「バランスの良い食事」が大前提です。
また、何らかの病気が原因で体臭が変化する場合もあります。健診などで定期的に健康状態をチェックし、不調があるときは早めに医師に相談しましょう。
疲労臭は、疲れがたまったときに出るツンとした体臭で、体内から出るアンモニアが原因です。疲労やストレス、飲酒、肥満などによって肝臓の働きが弱くなると疲労臭が発生しやすくなるので、生活習慣や食生活を見直し、疲労やストレスを溜めない生活を心がけましょう。また、病気のサインとして体臭が変化している可能性もありますので、気になる場合は早めに医師に相談するようにしてください。