記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
医療系の記事でときどき目にする「疼痛」とは、どんな意味を持つ言葉なのでしょうか?疼痛の意味や、長期的な疼痛をもたらす「線維筋痛症」という疾患について、今回はご紹介していきます。
疼痛(とうつう)とは、「痛み」や「不快感」を意味する医学用語です。疼痛と呼ばれる痛みには明確な定義はなく、ズキズキするような痛み、焼け付くような痛み、チクチクした痛みなどさまざまな種類があります。また、痛みではなくても、しびれや焼けるような感覚、突っ張り感、だるさなども、本人が不快感を感じる場合は疼痛と表現されます。
この疼痛はおおまかに、「急性疼痛」と「慢性疼痛」の2種類に分けられます。
怪我や病気などによって起こる短期的な疼痛。脳が痛みを認識し、傷ついた部位を一時的に安静にさせることで、その間に傷の修復をしたり、免疫反応を呼び起こしたりします。
疼痛の原因となる病気や怪我を治しても、何ヶ月も残り続けたり、再発したりする慢性的な痛み・不快感。痛みが続くこと自体が新たな「病気」となり、日常生活にも支障が出るようになります。
この慢性疼痛は、さらに以下の3つに分類されます。
線維筋痛症とは、全身の広範囲(あるいは特定の箇所)が慢性的に痛む病気です。痛みの程度は軽度のものから激痛のものまでさまざまで、その痛みを表現する言葉も「ズキズキ」「ヒリヒリ」「鈍痛」「刺すような」など多様です。
また、痛む場所が移動したり、痛みの程度が天候やストレスによって左右したりするのも大きな特徴のひとつです。重症化の場合はちょっとした刺激(髪に触られた、少し大きい音がした)だけでも激痛が走り、日常生活を送るのが困難になるケースも少なくありません。
線維筋痛症は、検査をしても特に異常が見られるわけではないため、決め手となる診断基準はありませんが、下記に該当する場合は線維筋痛症の可能性が高いと診断されます。
線維筋痛症の原因は、現段階でははっきりわかっていません。ただ、発症には複合的な要因があり、肉体的・精神的なストレスの蓄積によって、中枢神経の痛みの回路が変化したことで、痛みが増幅するようになるのではないかと考えられています。
また、線維筋痛症を根治させる治療法も、確立されていないのが現状です。しかし、痛みを起こす神経の興奮を抑制する薬や抗けいれん薬、抗うつ薬、抗パーキンソン薬などの投与によって、痛みを緩和させていくことは可能です。
ほかに認知行動療法やマッサージ、有酸素運動療法なども、線維筋痛症に有効な治療法といわれています。
疼痛とはさまざまな痛み・不快感を表す言葉です。病気や怪我による疼痛はほとんどが一時的なもので、原因を治療すれば消失していくものですが、中には長期的に疼痛が続いてしまうケースも存在します。その場合はご紹介した「線維筋痛症」などの疾患が考えられるので、一度専門外来で検査を受けるようにしましょう。