心雑音の原因として考えられるものとして、どんなものがあるの?

2018/9/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

学校や職場の検診で「心雑音がある」と言われ、再検査を指示されるとドキッとしますよね。
でも、そもそも心雑音とはどんな音のことで、どのような危険性があるのでしょうか?
今回は心雑音があるときに考え得る原因について、患者の年齢による可能性の違いとあわせて、ご説明していきます。

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心雑音の原因として考えられるものは?

そもそも心雑音とは、弁の開閉や心臓の動きによって心臓・血管内部で血液の流れが乱れたときに発生する、不規則な心音のことをいいます。
心雑音には大きく分けて「無害性心雑音」「器質性心雑音」の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

無害性心雑音
心臓に特に異常はないが、人によっては聞こえることのある心雑音。
雑音にはいくつかのパターンがあり、身体の成長過程で聞こえることも多い。
器質性心雑音
先天的な心臓病などが原因で、発生している心雑音。
抱えている心疾患の種類によって、音の聞こえ方にはそれぞれ特徴があるといわれる。

このように、心雑音には病気由来のもの以外にも、健康上問題ないものも含まれています。
検診で医師から指摘される「心雑音」の原因としては、無害性心雑音と器質性心雑音双方の可能性が考えられるということになります。

子供に先天性心疾患が起こる原因は?

子供が検診で心雑音を指摘され、その心雑音が器質性心雑音であった場合に考えられる先天性心疾患としては、以下のようなパターンが挙げられます。

子供の器質性心雑音から考えられる、先天性心疾患の例

  • 心臓の右心室と左心室を隔てる壁に、穴が開いている
  • 心臓の各所に、大小さまざまな穴が開いている
  • 心臓内の血流をコントロールする便が狭く、血液の通りが悪くなってしまう
  • 本来なら4つあるはずの心臓内の部屋が、2つしかない  など

また、子供にこのような生まれつきの先天性心疾患が発生する理由としては、さまざまな可能性が考えられます。
具体的には、赤ちゃんの心臓が成長・完成するまでの妊娠初期までに、下記のような異常が起こってしまうためとする説が有力です。

子供に先天性心疾患が現れる原因と考えられているもの

  • 赤ちゃんの心臓を作る遺伝子に、何らかの異常があった
  • 妊娠中の母体の過度な飲酒・喫煙・禁忌薬の服用・感染症の罹患
  • いくつかの小さな遺伝子異常が重なった結果、心臓に疾患がのこった

なお、子供に何らかの先天性心疾患があった場合、心雑音とあわせて現れやすい症状としては以下のようなものが挙げられます。

心臓に穴が開いていて、心臓と肺に負担がかかっている場合
呼吸が浅く速い、汗をたくさんかいて苦しそうにしている、ミルクや食事をほとんど取れない、栄養が取れないため発育・体重増加が不良になる
心臓の穴から、酸素の少ない血液が全身に流れている場合
泣いたり、いきんだり、熱を出したときなどに身体に酸素が行き渡らなくなり、身体の末端や唇が青紫色に変色する

心雑音とこれらの症状が現れているなら、早急に病院で診察を受けさせる必要があります。

大人の場合、弁膜症や動脈硬化が心雑音の原因になることも

身体が十分に成長した大人が検診で心雑音を指摘された場合は、無害性心雑音である可能性はかなり低くなります。
大人の心雑音の原因で多いものとしては、心臓弁膜症や動脈硬化が挙げられます。

心臓弁膜症とは
心臓内での血液の逆流を防ぐ働きのある弁に異常が起き、血液の逆流や心臓と心臓を包む心膜がこすれる音が、雑音として聞こえることがある。
動脈硬化による心雑音
何らかの理由で動脈に沈殿物が溜まるなどして、動脈が硬く狭くなることで血流が遮断される「動脈硬化」により、血流に異常が生じて心雑音が出ることがある。

大人の心雑音には、上記のような後天的な心疾患が潜んでいる可能性が大いにあります。
子供の心雑音に比べ、大人の心雑音にはしっかりとした再検査・治療が必要になるケースが多いと理解しておきましょう。

ストレスは心雑音の原因になる?

ストレスと心雑音の直接的な関係は明らかになっていませんが、ストレスがかかると自律神経や心臓の働きが乱れやすくなるといわれています。
心臓に余計な負担をかけて心雑音や心疾患の一因を作ってしまわないよう、年齢にかかわらず規則正しい生活を心がけ、ストレス解消にも努めてください。

おわりに:心雑音には無害なものもあるので、原因特定には詳しい検査が必要!

心雑音には放っておいても問題ない無害性心雑音と、病気由来の可能性が高い器質性心雑音があります。このため、検診で心雑音を指摘された場合に考えられる原因も、患者の年齢や心雑音の聞こえ方によって変わってきます。原因の特定にはエコーなどを使った詳細な再検査が必要ですが、大人の方が後天的な心疾患が原因である可能性が高いです。いずれにしても、検診で心雑音を指摘された場合は必ず再検査を受けるようにしましょう。

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