記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
HPV・ヒトパピローマウイルスは、子宮頸がんの一因となることで知られるウイルスです。このHPVは、女性のみに作用し、男性には感染・発病リスクのないウイルスなのでしょうか?
今回は男性へのHPVの感染と発病、そして男性がHPVワクチンを受ける必要性について、解説していきます。
通常、HPV(ヒトパピローマウイルス)は性交渉のような肌や粘膜の密な接触によって、人から人へ感染します。性交渉のなかでも特に異性間の性交によって感染するケースが多く、男性器に付着したウイルスが、女性器や子宮頸部に触れることで感染するといわれています。
このため、例えばHPVに感染した女性と性交渉を行った男性が、HPVに感染してしまう可能性は十分にあるのです。
また、何らかのきっかけでHPVに感染した男性が、別の男性と同性間で性交渉を持った場合にも、肛門や陰茎からHPV感染を拡大させる可能性があります。
ただし、男性のHPV感染では細胞異常が起こらない限り、症状が出にくいのが特徴です。このため本人が感染に気付きにくく、男性のHPV感染の詳しい経路は、まだ明らかになっていません。
男性がHPVに感染した場合に発症する可能性の高い病気としては、性器や肛門の周辺に先がとがったようなイボができる「尖圭(せんけい)コンジローマ」が挙げられます。
また、女性に比べると確率はかなり低いものの、以下のようながんを発症するケースも報告されています。
なお、陰茎がんのうち約40%、肛門がんのうち約90%はHPV感染が原因とされます。
日本においては2010年ごろから2013年まで、小学6年生~高校1年生までの女児に対し、HPVワクチンの積極的な接種が推奨されていました。
しかし男性に対しては積極的な接種案内は行われておらず、女児への接種を推奨していた厚生労働省も、男性のHPVワクチン接種への影響には言及していません。
HPVワクチンは別名「子宮頸がんワクチン」とも呼ばれるほど、女性のみを対象としたワクチンだと考えられてきたのです。
ただ、日本でも男性のHPVワクチン接種に対応している病院はあります。
尖圭コンジローマや咽頭がん、肛門がんなど、HPV感染による発病が心配な男性は、男性のHPVワクチン接種に対応した病院を探してみると良いでしょう。
女性特有の疾病である子宮頸がんの一因であり、女性にのみ感染の危険があると思われがちなHPVですが、男性にも感染リスクはあります。男性がHPVに感染した場合、尖圭コンジローマや陰茎がん、肛門がんなどの発病リスクが上昇します。このため、HPVワクチンは男性の感染予防にも効果的なのです。少ないながら日本にも男性のHPVワクチン接種に対応した病院があるので、興味のある方は探してみてください。
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