記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
特に女性はお悩みの方の多い「冷え性」。主な原因としては筋力不足などが知られていますが、実は「腸内フローラ」の状態も原因のひとつと考えられているのです。両者の関連性について、詳しくは以降で解説していきます。
私たちの腸には、およそ1000兆個もの腸内細菌が住んでいるとされ、これらの腸内細菌は花畑のような集合体「腸内フローラ」を形成しています。腸内フローラには「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類の菌が存在しますが、このうち悪玉菌が優勢になり腸内環境が悪化すると、便秘や肌荒れ、免疫力の低下などさまざまな症状が起こるようになります。
そして女性に特に多い「冷え性」も、腸内フローラの状態が関連しているのではないかといわれています。腸内フローラの悪化によって引き起こされる便秘は、代謝や血流低下の要因であり、つまりは冷えを引き起こすものだからです。
また、腸内フローラのうち悪玉菌が優勢になると、腸の蠕動運動が阻害され、食べ物を消化・吸収しにくくなります。すると栄養素の吸収率も低下するために、体のすみずみに栄養が行き渡らず、血行が悪化しやすくなるのです。
「冷えは万病のもと」とはよくいわれますが、体全体が冷えると腸への血流も悪化し、腸機能が低下することで便秘や下痢が起こりやすくなります。
腸内フローラの乱れを改善するには、体にいい作用をもたらす「善玉菌」が優勢な腸内環境をつくっていくことが大切です。
この善玉菌が好む餌としてまず挙げられるのが、食物繊維です。食物繊維は野菜や大豆製品、海藻類などさまざまな食べ物に含まれていますが、特におすすめなのがきのこ類です。食物繊維には、腸の蠕動運動をサポートし排便を促す「不溶性食物繊維」、ゲル状になって排便を促す「水溶性食物繊維」があるのですが、きのこ類にはこの両者が豊富に含まれています。さらに、血行を改善するといわれるビタミンB群も多く含有されています。
ほかに善玉菌が好む餌としては、玉ねぎやバナナ、大豆製品、ハチミツなどに含まれる「オリゴ糖」が挙げられます。また、味噌やキムチ、納豆などの発酵食品も、腸内の善玉菌を活性化させるおすすめの食べ物です。チーズなどのタンパク質と一緒に食べると血流量が増え、体温が上昇しやすくなるので、組み合わせておかずをつくってみてください。
冷え性の改善には運動が有効ですが、これは腸内フローラの乱れが原因の場合も同様です。運動不足は腸の機能を低下させ、腸内フローラのバランスを崩すだけでなく、腹筋が弱ることで排便力も低下し、便秘の原因になります。ウォーキングや水泳などの全身運動を習慣化させ、腸の蠕動運動を促進するようにしましょう。
腸内フローラの乱れは便秘を引き起こすだけでなく、腸の蠕動運動を鈍らせ、代謝や血流を悪化させて冷え性の原因ともなり得ます。冷え性なだけでなく、便秘や肌荒れにもお悩みという方は腸内フローラが乱れている可能性が高いので、食事内容や運動習慣などをぜひ見直してみてください。
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