記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/25 記事改定日: 2019/4/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
発熱を伴う排尿トラブルは、腎臓や前立腺など尿にかかわる器官の炎症のサインです。
微熱と一緒に排尿トラブルを感じているなら、それは風邪ではないかもしれません。
今回は排尿トラブルを伴う微熱症状について、適切な対処法や、男女別に考えられる病気の可能性を解説していきます。
排尿のトラブルは、思わぬ病気が潜んでいる可能性もあるため以下のような症状や変化がある場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。
微熱とともに、頻尿や排尿痛、残尿感などの尿トラブルを自覚しているなら、前立腺炎(ぜんりつせんえん)や腎盂腎炎(じんうじんえん)などの尿路感染症を起こしている可能性があります。
前立腺炎と腎盂腎炎とは、それぞれ以下のような症状を伴う病気です。
これらの症状は放っておくと重症化し、命にかかわる事態に至るケースもあります。
微熱とともに排尿トラブルの症状を自覚したときは、放置しないでできるだけ早く病院に行き、必ず医師の診断・治療を受けてください。
尿道が短い女性のかかりやすい病気「腎盂腎炎」には、急性のものと慢性のものがあります。
上記の通り、腎盂腎炎のなかでも急性腎盂腎炎を発症した場合に、微熱・発熱や排尿トラブル、痛みなどの症状が顕著に現れます。女性で発熱や排尿トラブルを自覚する場合は、急性腎盂腎炎である可能性が高いでしょう。
また腎盂腎炎の治療は、腎臓で炎症を起こしている細菌を排除するため、β-ラクタム系薬、キノロン系など抗生物質の通院での投与をメインに進めていきます。
投薬と安静、そして十分な水分補給を続けていれば、通常1~2週間の治療で回復します。
ただし、十分な水分・食事の摂取が難しいほど発熱や血圧低下がひどく、全身の症状が悪い場合は入院して治療するケースもあります。
なお、腎盂腎炎の再発は会陰部をシャワーなどで清潔に保って細菌を尿道に侵入させないこと、そして多めの水分補給と尿意を我慢しないことで予防できます。
男性特有の器官である前立腺に細菌が侵入し、炎症が起こる「前立腺炎」は別名「急性細菌性前立腺炎」とも呼ばれます。
治療は腎盂腎炎と同様、炎症を起こしている細菌の除去を目的にした抗生物質の投与がメインとなります。
抗生物質は基本的には内服薬で投与されますが、食欲不振や脱水を伴い全身症状が悪い場合は、入院のうえ点滴にて抗生物質が投与されます。
治療にかかる期間の目安は腎盂腎炎より長くなることがあります。入院するほど重症であった場合には、退院後もしばらくは通院で抗生物質の投与が続けられます。
発熱と全身倦怠感に加え、頻尿・排尿痛・残尿感などの尿トラブルが現れているなら、女性は腎盂腎炎、男性は前立腺炎を起こしている可能性があります。
これらは尿道に細菌が侵入し、腎臓や前立腺周辺で炎症を起こすもので、症状の進行が早いのが特徴です。放っておくと命を落としかねないほど重症化するケースもあるので、できるだけ早く病院に行って適切な診断・治療を受けてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
この記事の続きはこちら