冷えによる生理痛、どんな対策がおすすめ?

2023/11/1

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

「肌寒い時期になると生理痛がひどくなる」という人は多いかもしれませんね。このような生理痛には「冷え」が影響している可能性があります。この記事では、冷えが原因で生理痛がひどくなる理由と、冷えによる生理痛の緩和に役立つ対策について解説していきます。生活習慣の見直す際に、ぜひ役立ててください。

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冷えると生理痛が悪化するのはなぜ?

生理痛がひどくなる原因としては、ホルモンバランスの乱れや骨盤のゆがみ、子宮内膜症などの病気が考えられますが、「冷えによる血行不良」も原因になることがあります。

生理中は、子宮内の血管を押し広げて子宮を収縮させる「プロスタグランジン」というホルモンが分泌されることで、子宮内膜が外に押し出され経血が出るようになります。しかし、このときに子宮周辺が冷えて血流が悪い状態になると、子宮の動きが低下することでスムーズに子宮内膜を押し出せなくなることがあります。この状態になると、過剰にプロスタグランジンが分泌されてしまうことで子宮の収縮がより強くなり、生理痛が悪化することがあるのです。

生理痛の悪化につながる行動は?

お伝えしたように生理痛と冷えには深い関連性がありますが、以下で紹介する行動は、ついついやりがちですが、生理痛を悪化させている可能性があるものです。該当するものがないかチェックしてみてください。

「生理痛がひどいから」と大人しくしておく

生理痛がひどいと動くのもつらく、椅子やベッドなどでじっとしたくなる気持ちはよくわかります。ただ、動かずにいるとますます血行が悪くなるので、そのぶん子宮の収縮も強くなり、痛みが悪化することがあります。

ナプキンのつけっぱなし

ナプキンはそんなに安いものではないので、「経血がそんなについていなければ取り替えない」「夜用のナプキンを一日中つけている」など節約している人もいると思います。ただ、水分を吸収したナプキンは徐々にひんやりしてくるため、デリケートゾーンに長時間触れていると冷えや生理痛悪化の原因になることがあります。湿り気を感じた段階で取り替え、3時間おきには交換するようにしてください。

生理痛がきてから痛み止めを飲む

生理痛は、前述のプロスタグランジンというホルモンが体内の受容体と結合することで起こります。しかし、生理痛用の鎮痛薬はプロスタグランジンの生成を防ぐものなので、生理痛を感じてから服用しても、すでにプロスタグランジンが受容体に結合した後のため、鎮痛効果をそこまで得られなくなってしまいます。痛みを感じる前に服用することが重要です。

ミニスカートやショートパンツ、スキニージーンズなどの服装

冷えを助長させるミニスカートやショートパンツなどの服装や、下半身を締め付けるスキニータイプのボトムスも血流を悪化させ、生理痛をひどくする可能性があります。また、ローライズのボトムスや下着も、子宮周辺の冷えにつながるので避けましょう。

カフェインの摂り過ぎ

コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインには、体を冷やす作用あります。生理中はこれらの飲み物の過剰摂取は控え、ノンカフェインかつ温かい飲み物を飲むようにしてください。

冷えによる生理痛の緩和に役立つ対策は?

秋から冬の寒い季節はもちろん、クーラーによる冷えも生理痛の悪化につながります。このような冷えによる生理痛は、以下の対策で緩和できる場合があります。

カイロを貼る

生理痛がひどい人は、以下の場所にカイロを貼ってみてください。

おへその下
おへその下あたりには、ホルモンバランスを整えるツボが多く集まっているといわれています。子宮周辺の部位でもあるので、ここを温めることで生理痛の緩和が期待できます。
内もも
内ももには卵巣に関わるツボがあるといわれています。子宮の冷えは内ももの冷えとなって現れることがあるともいわれているためこのツボを温めることで、子宮の保温につながる可能性があります。
仙骨
仙骨とは、おしりの割れ目の上のほうに位置する骨のことです。ここにカイロを貼ることで子宮周辺や骨盤、卵巣周辺の血流促進につながるといわれています。

ストレッチをする

生理中はなかなか体を動かす気になれないかもしれませんが、軽く体を動かすだけでも血行が促進され、生理痛が緩和されやすくなります。ここでは座りながらできる、下半身の血流をよくするストレッチをご紹介します。

  1. 椅子に楽な姿勢で腰掛け、かかとを床につけたまま、両手首をゆっくり90°の角度に曲げ、10秒ほど数える
  2. 足首を元の状態に戻し、次は足の甲と足首を伸ばして10秒ほど数える
  3. この動作を5回ほど繰り返す

お風呂に入る、足湯につかる

お風呂にしっかり浸かって体を温めることで、冷えからくる生理痛を緩和できる場合があります。カモミール、ゼラニウム、アンジェリカなどの好み香りのアロマオイルを湯船に数滴垂らすと、リラックスしやすくなります。

湯船に浸かるのが難しい場合には、足湯もおすすめです。大きめの洗面器に42℃くらいのお湯を入れ、くるぶしまで浸かって15~20分ほど温めましょう(おでこにうっすら汗をかくまで温まることが目安です)。

ゆったりめの温かい服装を心がける

先ほどお伝えしたとおり、丈の短いボトムスやタイトな服装は冷えを増長し、生理痛を悪化させます。生理中はふわっとゆるめの服装を心がけ、下にはらまきや毛糸のパンツを履くなどして、お腹周りを温めるようにしましょう。

食事を工夫する

生理痛や冷えには、食事が関係している可能性があり、以下のような食事の工夫が生理痛の緩和に役立つ可能性があります。

EPAの摂取
サバやアジなどの青魚に豊富に含まれる「EPA」を摂ることで、子宮の過剰な収縮を抑制し、生理痛を緩和できる可能性があります。
ビタミンEの摂取
ビタミンEは末梢血管を拡張させ血行を促進し、ホルモン分泌を整えることに役立つといわれています。かぼちゃ、うなぎ、パプリカ、ごま、ナッツ類などに含まれているので、積極的に摂りましょう。
「体を温める食べもの」の摂取
たまねぎやニンニクなどに含まれるアリシン、生姜の辛みの成分・ジンゲロールなどは、血液を循環させ、体を温める作用があるといわれています。過剰摂取すると胃痛など別のトラブルを引き起こす恐れもあるので、適量の摂取を心がけましょう。
脂っこいものを控える
揚げ物やスナック菓子、ケーキ類などの脂っぽい食べものは、生理痛を悪化させる可能性があるといわれています。少なくとも生理中は、こういった食べものの過剰摂取を控えましょう。

おわりに:体を温めて生活習慣を見直すことで、生理痛が緩和できる可能性がある

女性は筋肉量が少ないぶん体が冷えやすいので、寒い季節に突入したり、肌を露出する服装をしていたりすると、生理痛がひどくなる傾向にあります。ナプキンの交換頻度や運動量、食事内容など、生理痛につながる要因について振り返り、できるところからひとつひとつ見直すようにしてください。

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