記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
過敏性腸症候群(IBS)の人は、通学や通勤電車で突然腹痛に見舞われてトイレに駆け込むことになったり、また排便に失敗してしまったりと、日常生活に大きな支障が出ることがあります。では、IBSの人が少しでも安心して外出できるようになるためには、どんな工夫をしていけばいいのでしょうか。
過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)とは、検査をしても炎症や潰瘍といった明らかな病変が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛といった下腹部の症状が慢性的に続く病気です。
IBSは症状の傾向ごとにいくつかのタイプに分類されますが、たとえば「下痢型」の場合、通勤電車で突然の腹痛や便意に襲われ、途中下車をしてはトイレに駆け込むということがしばしばあります。うまく降りられなかった場合は我慢できずに漏らしてしまうケースもあり、こうした体験は本人にとって大きなトラウマになります。また「ガス型」では頻繁におならが出てしまうため、密閉空間では辛い思いをすることもあるでしょう。
こうした症状は「すぐに逃げられない場所」や会議前などの緊張する場面で起こる可能性が高まり、一度周囲の前で大きく症状が出てしまうと、恥ずかしさや申し訳なさから外出自体を避けるようになってしまうケースも少なくありません。
では、IBSの人が少しでも安心して外出できるようになるには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。対処法をご紹介します。
下痢型や便秘型などIBSのタイプによって処方される薬は異なりますが、もしものときのために、症状をすぐに緩和してくれる下痢止めなどの薬を携帯して外出するようにしましょう。IBSの主要因はストレスと考えられており、緊張状態がきっかけで症状が出やすいので、「薬を持っているから大丈夫」という安心感が重要になります。
お腹が冷えると、ますます腹痛が起こりやすくなります。電車やオフィスのクーラーが効きすぎている、また普段から薄着という方は、お腹周りを温めるはらまきをあらかじめ装着しておくことをおすすめします。最近は薄手で衣服のシルエットに響かないものもたくさん出ているので、通販などでぜひ覗いてみてください。
脂っこい揚げ物や刺激物、またコーヒーなどのカフェイン飲料を普段からとっていると、腸への刺激となり下痢を誘因します。普段から消化によいものを食べるよう心がけ、特に朝は冷たいものを摂取したり、コーヒーを飲んだりするのはやめましょう。
突然の腹痛でトイレに駆け込もうとしても、トイレがなかなか見つからなかったり、混雑してすぐに入れなかったりすると非常に困ってしまいます。通勤中に途中下車をすることが多いという場合は、通勤ルートの各駅のトイレの場所や状態をあらかじめ把握しておくと安心です。営業職など外回りの方は、施設に入った段階でトイレの場所をチェックしておくといいでしょう。
実際に使うかは別として、トイレの場所を知っていれば駆け込むまでに必要な時間も読めますし、「もし近いトイレが使えなかった場合でも、別のトイレにスムーズに移動することができる」という安心感が、ストレスを緩和してくれる可能性があります。
IBSのことを隠して仕事をしていると、離席の頻度が高かったりしたときに、周囲から自分がどう見られているのか不安になり、さらなるストレスになってしまう可能性があります。信頼できる上司や同僚などに、事前にIBSのことを話しておくのも手です。
IBSの根本原因の多くはストレスと考えられており、実際脳と腸は深く関連していることがわかっています。ストレス源をできるだけ遠ざける、ストレス発散につながるような趣味に打ち込む、リラックスできる時間を増やす、ストレスを溜めすぎない考え方を身につけるなど、自分なりのストレス対処法を見つけ、上手にコントロールしていくことも大切です。
実践できそうな対処法はあったでしょうか。IBSの人は、ストレスや緊張を感じるとお腹の症状が出やすくなってしまうので、ご紹介したような対策で安心感を得たり、なるべくストレス源を減らすよう努めることがポイントになります。
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