記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎臓病にはさまざまな種類がありますが、薬の服薬が原因で起こる薬剤性腎障害とはどのような病気なのでしょうか?また、薬剤性腎障害を引き起こす薬にはどのようなものがあるのでしょうか?
薬剤による臓器障害には、骨髄障害・肝障害・腎障害・皮膚障害などがありますが、その中でも薬剤性腎障害は重要な病気と位置付けられています。
腎障害は、腎臓への血流の減少、糸球体や尿細管への直接的な毒性などが原因となり起こり、特に高齢者、脱水、糖尿病、動脈硬化、腎機能低下などが見られる人に薬剤を使用する場合は注意が必要となります。
薬剤性腎障害の原因になる薬には、以下があります。
痛み止め、解熱剤、肩こり、腰痛などに使用される薬ですが、急性尿細管壊死やアレルギー性の急性尿細管間質腎炎を引き起こすことがあり、まれにNSAIDs腎症と呼ばれる急性腎不全とネフローゼ症候群を引き起こすこともあります。
またこの薬剤には、プロスタグランジンと呼ばれる物質が作られるのを抑制する作用があるため、それに伴い腎臓への血流の流れが悪くなることがあります。それにより急性腎不全が引き起こされることがあるため、薬を飲む頻度が高く、服薬後に尿量の減少が見られる場合は注意が必要です。
血圧を降下させる作用のある薬は、効果の出方によっていくつかの種類に分けられますが、その中には腎臓機能が低下している時に服用すると、腎臓の働きをさらに悪化させてしまう薬もあるため、使用する際は注意は必要です。
肺炎、膀胱炎、腎炎、腹膜炎などになったときに細菌を攻撃する作用がありますが、長期間使用を続けると腎臓に薬剤が溜まり、腎臓機能が低下することがあります。
薬の量に依存して、急性腎不全の原因となる急性尿細管壊死を引き起こす恐れがあるため、患者さんの腎機能に応じた投与量に調整してもらうことが大切です。
アレルギーが原因となり、アレルギー性の急性尿細管間質性腎炎が引き起こされることがあり、発熱、発疹、関節痛などの全身症状を伴います。
シスプラチンによる急性尿細管壊死が見られることが多く、個人の腎機能に合わせて薬剤の用量を調節したり、腎障害予防に必要な点滴を十分に行っても腎障害が起こる恐れがあるため注意が必要です。
造影CTや血管造影などの造影剤を用いて行う各種画像検査は、腎臓への血流障害や尿細管障害により腎機能の働きが悪くなる恐れがあるため、脱水・利尿薬使用・高齢者・糖尿病・動脈硬化症・腎機能低下などがある人は特に注意する必要があります。
腎機能によって対処法も異なりますが、基本的には検査前後ともに十分に水分補給を行い尿がしっかりと出る状態にしておくことが大切です。場合によっては点滴(補液)を行うこともあります。
また、腎臓内科の主治医や検査や治療を行う担当医に、検査や治療の間隔、造影剤の量などについてもよく相談してもらうようにしましょう。
その他の薬剤性腎障害を引き起こす薬として、以下のようなものがあります。
薬の中には服用することで、腎臓機能を低下させてしまうものもあるため、服薬後に以下のような症状が見られる場合は主治医に相談するようにしましょう。
薬剤性腎障害とは薬剤による臓器障害の一つで、腎臓への血流の減少、糸球体や尿細管への直接的な毒性などが原因となり起こります。特に高齢者、脱水、糖尿病、動脈硬化、腎機能低下などが見られる人に起こりやすいため、非ステロイド性抗炎症薬、血圧を降下させる薬、抗生物質、抗がん薬、造影剤など薬を服用する際には注意が必要となります。服薬後に体調に異変が現れたときはすぐに医療機関を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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