寝起きに息苦しさを感じる原因は?病気が原因のこともあるの?

2018/11/8

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

寝起きに息苦しさを感じる場合、原因としては何が考えられるでしょうか。病気が原因で息が苦しくなっている可能性もあるのでしょうか。以降で解説していきます。

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寝起きに息苦しさを感じるのはどうして?

寝起きに息苦しさを覚えるとき、原因の一つとして睡眠中の自律神経の乱れが考えられます。

自律神経は、内臓や血管など、私たちの身体の機能をコントロールする神経で、交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は、血圧の上昇、心拍や呼吸数の増加などを司る「活動する」ための神経です。副交感神経は、血圧は低下し、心拍や呼吸数の減少を司る「休める」ための神経で、その一方で胃や腸の働きを活発にさせる作用をもちます。

このようにそれぞれの働きをもつ2つの神経が、バランスを取り合って生命機能を維持しているのです。しかし、これらのバランスが睡眠中に乱れると、息切れが起こる場合があります。

自律神経を整えて、寝起きの息苦しさを解消するには?

寝起きに感じる息苦しさの原因が自律神経だった場合、どのような対策ができるでしょうか。

自律神経のコントロールを助けるために意識することとして、呼吸が挙げられます。自律神経が乱れている人の多くは、短く浅い呼吸になっているのですが、これは、ストレスや緊張にさらされているときと同じ呼吸の仕方です。一方で、これとは逆に長く深い呼吸を意識すれば、自律神経も整いやすくなります。

具体的には、息をゆっくりと、長く吐きだす腹式呼吸をしてみるとよいでしょう。鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、唇をすぼませて遠くに長く吐き、お腹をへこませます。すると、横隔膜やお腹全体の筋肉が大きく動き、横隔膜付近に集中している自律神経を動かすことができるのです。寝起きに息苦しさを感じる人は、この腹式呼吸をする習慣をつけてみることをおすすめします。

そのほか、良い呼吸のためにできることとしては、リズミカルに体を動かすウォーキングなどの運動、胸を開いて背中を伸ばした姿勢を心がけることなども有効です。

寝起きの息苦しさは病気が原因ってことも?!

寝起きの息苦しさの原因は、もちろん自律神経の乱れだけではありません。中には、病気が隠れていることもあるので注意が必要です。特に、気管支などの呼吸器や、心臓などの循環器系の病気から、寝起きに息苦しくなることがあります。

呼吸器系で夜や朝に起こりやすい病気としては、「気管支ぜんそく」が挙げられます。気道が慢性の炎症を起こして、せき、たん、息切れなどの症状が出る病気です。ほかに、タバコの煙が原因で気管支の肺胞が破壊される「慢性閉塞性肺疾患」などもあります。タバコを吸う人は注意が必要です。

循環器系では、体に必要な血液量を心臓が送り出せない「心不全」という病気があります。血液の停滞とともに気管支の狭窄を起こすため、息苦しさの原因となるのです。ほかにも、睡眠中に無呼吸を起こしている「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」の可能性もあるでしょう。

気になる症状があるときは、医師の診察と検査を受けるようにしてください。

おわりに:寝起きの息苦しさの原因は、自律神経の乱れ、または病気の可能性も

夜間や早朝、または寝起きに息苦しくなる原因のひとつとして、睡眠中の自律神経が関係していることがあります。自律神経を整えるためにできる対策としては、長く深い腹式呼吸を意識することなどが挙げられます。呼吸によって、お腹周辺にある自律神経を動かすことができるからです。しかし、中には重大な病気が隠れていることもあるので、不調が続く場合は病院で検査を受けましょう。

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