記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大腸の内側の粘膜が黒っぽくなる、「大腸メラノーシス」。この大腸メラノーシスは便秘薬が原因で発症する、というのは本当でしょうか。大腸メラノーシスの治療法と併せて解説します。
大腸の内側の粘膜の色は本来はやや黄みがかかった、きれいなピンク色をしていますが、大腸の内側の粘膜が黒っぽくなる状態を大腸メラノーシスといいます。大腸の粘膜にメラニン色素が沈着して、黒色になるのです。
大腸メラノーシスが起こっている原因は、アントラキノン系の下剤を長期にわたって服用していることです。アントラキノン系の下剤は、市販されている多くの下剤が該当します。成分としては、ダイオウ、センナ、アロエなどで、漢方薬としても用いられるものもあります。アントラキノン系の下剤は、大腸に刺激を与えて蠕動(ぜんどう)運動を引き起こし、便通をうながす薬です。
大腸メラノーシスそのものは、大腸の機能に影響を与えるものではありません。大腸メラノーシスは、原因となったアントラキノン系の下剤を止めれば半年から1年間ほどで改善し、粘液の色はもとのピンク色に戻るといわれています。
しかし、下剤をたくさん飲んできた人が、いきなり下剤を止めて大丈夫なのでしょうか。大腸メラノーシスが起こっているのは、下剤を長期にわたって服用しており、大腸の動きがかなり鈍くなっている状態と推測できます。本当に治療が必要となるのは、大腸メラノーシスが起こるほどに下剤を服用して、やっと排便しているという便通の異常のほうです。
アントラキノン系の刺激性下剤は、大腸への作用が強力な一方で、持続して服用していることで習慣性が生じます。つまり、薬を服用しないと便が出ない、あるいは、服用していても効かないといったことが起こりうるということです。下剤に頼らないと便通が生じないという状態には、何らかの対処が必要ですが、いきなり下剤を全く飲まないで排便リズムを整えるということは難しいかもしれません。
下剤には、アントラキノン系のもの以外に、酸化マグネシウムや化学合成系のものがあります。アントラキノン系以外の薬を試してみることは対処方法のひとつです。また、不規則になりがちな食生活や運動不足が原因として考えられる場合には、生活習慣を見直していくことになるでしょう。便意が起きたときに我慢せずにトイレに向かうことを心がけることも大切です。
大腸メラノーシスはメラニン色素が大腸の内側に沈着して、本来のピンク色よりも黒っぽくなってしまう状態です。大腸メラノーシスの原因となっているのは、市販薬でも販売されているアントラキノン系の下剤です。アントラキノン系の下剤の服用を止めれば、粘膜は次第に元のピンク色に戻っていくといわれています。また、便秘薬に頼るだけではなく基本的な生活習慣を見直し、排便習慣を改善することで大腸メラノーシスの改善につなげていきましょう。
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