大腸の働きが悪くなると体にどんな影響が出る?良くするためには?

2018/11/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

大腸の機能が低下すると、全身にどんな影響が出るようになるかご存知ですか?以降では、大腸の担う役割や機能低下した場合の影響、そして大腸の機能を改善させるためのポイントなどを解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

大腸ってどんな臓器?

大腸とは、右下腹部の小腸が終わった部分から肛門にわたり、1~1.5mほどある管状の臓器です。肛門に近い約15~20cmを「直腸」、それ以外の部分を「結腸」と呼びます。結腸は右下腹部から始まり右上腹部へ上行する「上行結腸」、そこから左上腹部へ向かって身体を横断する「横行結腸」、左上腹部から左下腹部へ下行する「下行結腸」、そこからS字に屈曲する「S字結腸」と4つの部分に分かれています。

大腸では、細菌による食物繊維の発酵を行ったり、小腸から送られてきた内容物から栄養素や水分を吸収します。そして、残りは固形と便となって肛門へ送り出していきます。

大腸の働きが悪くなると体調にどんな変化がみられる?

大腸の働きが悪くなって引き起こされる病気として、代表的なものは便秘です。便秘は、主に次のようなことが原因となって起こります。

  • 腸管に吸収される水分量が増加した
  • 腸の蠕動運動が低下している
  • 排便反射が弱い
  • 腸管が狭い

小腸の終わりから大腸にかけての部分には、以下の3つの腸内細菌が棲みついています。

  • ビタミンや酢酸などの人にとって良い作用をもたらす物質を作り出す「善玉菌」
  • 腐敗産物など悪い作用をもたらす物質を作り出す「悪玉菌」
  • 両方の性質を持つ「日和見菌」

これらは、普段せめぎ合いながら腸内でバランスをとっています。ところが、何らかの理由で腸内細菌のバランスが崩れると、腸内環境が悪化します。そして、腸の蠕動運動が低下してスムーズな排便がしにくくなり、便秘になってしまうのです。

また、腸内環境の悪化は肌のトラブルとも影響があるといわれています。腸内環境が悪化すると、腐敗産物が腸内に蓄積されます。蓄積された腐敗産物は血液に吸収されて全身をめぐり、肌のトラブルを招いてしまいます。実際に、便秘の人の方が肌の乾燥やにきび、吹き出物などの肌トラブルを起こしやすいことがわかっています。

大腸の働きをよくするために、何をすればいいの?

大腸の働きをよくするためには、普段の食生活や生活習慣を見直すことが大切です。まずは、朝食をしっかりと食べてトイレを行く習慣をつけましょう。次に、1日3食規則正しく食べるようにしてください。大量に食べすぎたりせずバランスの良い食事を心がけ、よく噛んで食べるようにしましょう。

食事の内容も、腸内環境を整えることに影響します。食物繊維を多く含む食事をして、水分もしっかりとるようにしてください。冷たいものは摂りすぎず、温かい飲み物をとるのも効果的です。腸内環境を改善するヨーグルトや乳酸菌飲料をとるのも良いでしょう。
さらに、適度な運動や十分な睡眠も腸内環境を改善してくれます。運動は腹式呼吸や腹筋を鍛えるなど、簡単な運動でも大丈夫です。

おわりに:普段の食生活や生活習慣を見直し腸内環境を整えよう

腸内環境を整えることは、大腸の働きを良くすることにつながります。便秘や肌荒れで悩んでいる場合には、まず腸内環境を整えるようにしてください。普段の食生活に食物繊維をプラスしたり、腹筋を鍛えるなど簡単な運動を習慣にしてみましょう。また、便意は我慢しないことも腸内環境を整えるためには大切なことといえるでしょう。

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