記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血尿は比較的女性に起こりやすい症状とされていますが、男性でも血尿が出ることはあるのでしょうか。また、男性の血尿にはどんな病気が隠れている可能性があるのでしょうか。以降で解説します。
血尿は男性に比較すると女性の方に多く見られるため、男性は血尿と無縁ではないかと考える方もいるかもしれません。しかし、女性ほど多くはないとはいえ、男性でも血尿が出ることはあります。検査にて血尿が発見される割合は男性で受診者の約4%、女性で約12%程とされています。そのため、男性でも血尿が出るということを念頭に置いておくことが良いでしょう。
男性に血尿が見られる原因はさまざまです。肉眼ではっきりと血尿だとわかる「肉眼的血尿」の原因では、腎腫瘍、膀胱腫瘍、特発性(本態性)腎出血、尿道カルンケル、前立腺がん、出血性膀胱炎、尿管結石などがあります。
一方、肉眼では血尿が出ているかどうかが分からないものの、検査を受けると血尿が出ていると診断される「顕微鏡的血尿」の原因には、慢性膀胱炎、IgA腎症、尿路結核があります。他にも先天性尿路奇形の場合も男性で血尿が見られることがあります。
特に男性で血尿が見られる特徴的な疾患が前立腺がんと膀胱がんです。
前立腺がんでは、前立腺の肥大による排尿困難と血尿が症状として見られますが、初期から症状が見られることは少なく、血液検査などで発見されることが多くなります。骨などに転移する可能性が高いがんですが、進行がゆっくりであるため早期に発見できれば治療を行うことができます。
一方の膀胱がんは50~60歳代の男性に多い病気です。膀胱がんでは、赤色や茶色といった色の肉眼的血尿が出るのが一般的です。これに加えて他にも、頻繁に尿意を感じる、排尿するときに痛みがあるなど膀胱炎のような症状が見られることがありますが、基本的に初期の段階では症状が見られません。そのため、ゆっくりであるものの症状が出たときにはすでにがんが進行している可能性もあります。また、膀胱がんによる血尿においては数日経過すると血尿が止まるなど一過性の場合もあり、見過ごされることが多いのも特徴です。
他にも尿路結石も男性の血尿の原因として多い病気であり、男性は10人に1人、女性は25人に1人が生涯のうちにかかる可能性があるとされています。尿路結石の場合には血尿以外にも腰背部痛、排尿困難、排尿時痛などの症状が見られることがあります。
排尿をした後に目で見て明らかに血が混じったような色をしている、褐色であるという場合には、血尿と考えて早期に検査を受け、治療を受けることが望ましいです。特に目で見て尿の色が明らかに異なっている肉眼的血尿では早急に医療機関を受診するようにしましょう。
膀胱がんなどの病気によっては、血尿が1日だけ見られたものの、その後は血尿が出なくなったため様子を見ていた結果、病期が進行してしまう可能性があるものもあります。そのため、血尿が出た場合すぐに止まったからと様子をみるのではなく、特に男性では1回でも血尿が出た場合早期に検査を受けることを強くおすすめします。
なお、血尿の原因を明らかにするには、さまざまな検査が必要となります。血尿が見られた場合にまず行われる検査は尿の検査(検尿や尿細胞診)や超音波検査などといった痛みのない検査が中心となります。これらの検査で病気が疑われるような結果が出た場合にCTやMRI、採血、膀胱鏡などの検査を行います。
血尿が続くと貧血など他の症状を引き起こしてしまう可能性もあるため、注意して尿の性状をチェックするようにしましょう。
血尿は男性よりも女性に見られるイメージが強いものの、男性でも血尿が見られることはあります。血尿が見られた場合にはさまざまな疾患が疑われますが、特に男性で注意しておきたい疾患が膀胱がん、前立腺がんです。1日でも、1回でも血尿が見られた場合には早急に専門の医療機関で検査を受けるようにしましょう。
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