脾臓とはどんな臓器?なくても生きていけるって本当?

2018/12/3

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胃や腸、心臓・肺・肝臓など身近な臓器は知っていても、脾臓(ひぞう)の位置や役割について理解している人は、少ないのではないでしょうか。
今回は脾臓という臓器について、その位置や働き、必要性を解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

脾臓ってどんな臓器?

脾臓は肋骨のすぐ下、左上腹部のあたりにある、握りこぶし大の臓器です。
人体のなかで、脾臓は主に以下3つの役割を担っています。

古い赤血球の破壊・処理する役割
血液の流れにのり、全身に酸素や栄養を運ぶ働きをする赤血球のうち、古くなって寿命を迎えたものを破壊する役割を担っています。
体に害をなす菌や異物を処理する役割
脾臓には、体内にあるリンパ球のうちおよそ1/4が集結しているといわれています。このため免疫器官として、病原菌やウイルスなど人体に侵入して害をなす異物を攻撃・処理する役割も担っています。
特に肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザウイルスなどいくつかの菌・ウイルスに対し、強い防御機能を持っているとされます。
止血のための血小板を貯蔵する役割
血液を凝固させ、ケガをしたときなどの止血に必要な血小板のうち、およそ1/3が有事に備えて脾臓に集められ、保管されています。

上記から、脾臓が血液の働きと免疫の機能に大きく関係し、人体の健康維持に役立っていることがわかります。

脾臓がなくても生きていけるって本当?

主に血液と免疫機能を支え、人体の健康に役立っている脾臓ですが、仮に重大な損傷や病気のために摘出してしまっても、命を落とすことはありません
脾臓とその機能がなくなってしまっても、肝臓など他の臓器が脾臓の役割をある程度補ってくれるため、人は生きていくことができるのです。

ただ、前述したように脾臓は菌・ウイルスによる感染症への防御機能を持っています。
このため、脾臓を摘出してしまうと肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザウイルスをはじめ、感染症に対する防御力が落ちてしまい、罹患しやすくなります

何らかの理由で脾臓を摘出した人は、脾臓のある人・健康な人以上に、感染予防対策を徹底しなくてはならないと覚えておきましょう。

おわりに:脾臓は血液と免疫の機能にかかわる臓器!なくなると感染症にかかりやすくなる恐れが

胸と腹部の間、体の左側に位置し、握りこぶしほどの大きさのある脾臓は、血液の成分である赤血球の処理や血小板の貯蔵、菌やウイルスの排除・処理を行う臓器です。似た働きを持つ肝臓が機能を補ってくれるため、仮に何らかの理由で脾臓を摘出しても、命を落とすことはありません。しかし菌やウイルスに対する防御機能は低下するため、感染症にはかかりやすくなります。健康な人以上の予防措置が欠かせなくなると、覚えておいてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

脾臓(3) 血小板(2) 脾臓の摘出(2)