記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/2/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「冬場は風邪を引かないように、暖房と加湿で部屋を暖かくする」というのは常識ですが、いくら暖かくしても咳が止まらない場合、冬のカビによるアレルギー反応が原因かもしれません。特徴的な症状や詳しい原因について、以降で解説します。
家やオフィスでの暖房器具に、エアコンを使用されている方は多いことでしょう。ただ、エアコンのフィルターの掃除はしっかりやっていますか?「エアコンをつけると急に咳が出る」場合は、フィルターに存在するカビが原因で、アレルギー反応として症状が出ている可能性があります。
このようなアレルギー反応を引き起こすカビの多くは、「クラドスポリウム」というクロカビといわれています。クラドスポリウムは冬に増えるカビの代表格ですが、室内で一番多く存在するカビでもあり、洗面所や浴室、トイレ、シンク下などによく発生します。またこうした湿度の高い場所だけでなく、比較的湿度が低いとされるエアコンのフィルターやほこりの中にも存在します。
クラドスポリウムの感染力はそこまで強くはありませんが、エアコンのフィルターからクラドスポリウムの胞子を継続的に吸い込み続けていると、咳やのどの痛み、痰、鼻水といった呼吸器系のアレルギー症状が現れるようになります。特に、「2週間以上咳が止まらない」「夜中から明け方にかけて咳がひどくなる(喘鳴はない)」など咳の症状が強い場合、「咳ぜんそく」を発症している可能性があるので早めに呼吸器科を受診してください。
咳を招くクラドスポリウムは、窓のパッキン部分など、結露する場所を好む性質を持ちます。結露は外気と室内の温度差が大きいと発生するので、加湿による室温の上昇も結露を招く要因になります。
適度な加湿は乾燥や風邪予防に役立ちますが、窓の結露は湿度が高くなりすぎているサインです。乾いた布などですぐに水気を拭き取り、換気をしましょう。また、加湿の手段は加湿器だけに限りません。洗濯物を部屋干しする加湿方法も、ぜひ取り入れてみてください。
エアコンに潜むカビはクラドスポリウムだけではありません。中には「アスペルギルス」という、アレルギー性肺炎を引き起こすカビが存在しているケースもあります。
アスペルギルスはアオカビの一種で、免疫力が弱っている人が吸い込むと「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」という肺炎を招くきっかけになります。エアコンの暖房を始めてしばらく経ってから、激しい咳やヒューヒューといった喘鳴など、気管支ぜんそくと似た症状が出た場合は病院を受診しましょう。
多くのカビは25℃以上の温度と60%以上の湿度で発生し、湿度が80%を超えると急激に増殖するといわれ、冬の室内はまさにカビの増殖しやすい環境です。エアコンのフィルターは2~3週間に1回の頻度で掃除し、結露が起こらないように湿度管理をする、といった対策を徹底しましょう。
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