胆嚢ポリープができたら手術が必要?なくす方法はある?

2018/12/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

健康診断などで胆嚢ポリープが発見された場合、気になるのが手術をする必要があるのかどうかという点です。以降では胆嚢ポリープで手術が必要になるケース、また胆嚢ポリープが自然になくなる可能性などについて解説します。

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胆嚢ポリープってどんなもの?

胆嚢ポリープとは、胆嚢の周囲の粘膜面と区別できる、2cm以下の限局性の粘膜の隆起のことです。胆嚢ポリープは形態を示しているだけであり、ポリープ自体は大きく分けて、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープとに分類されます。

腫瘍性ポリープとは、粘膜の細胞が増殖してできるもので、腺腫といわれる良性のものと腺がんといわれる悪性のものがあり、これらができる原因は現在のところわかっていません。

一方、非腫瘍性ポリープはコレステロールポリープのことであり、最もよくみられます。これは胆汁中のコレステロールエステルが胆嚢粘膜に沈着することによってできますが、血中や胆汁中のコレステロール濃度とはあまり関連がないとされており、このコレステロールポリープが、がんになることはまずないと考えられています。

どの種類の胆嚢ポリープであったかは、手術をして組織を病理検査に出すことによって明らかになります。胆嚢ポリープはほとんど症状もありませんが、近年では健診や人間ドックでの超音波検査の導入によって発見率が高まっており、5~10%程の頻度で発見されています。胆嚢ポリープのほとんどが良性のものですが、大きくなって悪性化するものがありますので注意が必要です。

胆嚢ポリープはすぐ手術したほうがいい?

胆嚢ポリープは他の部位にできたポリープのようにポリープのみを取り除くという手術が難しく、基本的には胆嚢を全摘出する手術を行います。しかし、胆嚢ポリープができているからといって必ずしも手術を行う必要はありません。

胆嚢ポリープで手術が必要なのは、胆嚢ポリープが10mm以上の場合、経過観察の検査で大きくなってきている場合、大きさにかかわらずポリープの茎が幅広い広基性病変である場合、超音波検査で癌が疑われる所見がある場合です。ほかにも、血液検査で腫瘍マーカーが高いなど悪性の疑いがある場合が手術の対象となります。

ちなみに、大きさが10mmを超える胆嚢ポリープの 25%にはがんが認められるといわれています。10mm以下の胆嚢ポリープが大きくなる人の割合は5 年間で3%程度といわれており、良性のポリープであっても大きくなる可能性は十分ありますが、明らかに大きくなる速度が速い場合などは悪性が疑われます

胆嚢ポリープの手術は、腹腔鏡下胆嚢摘出術もしくは開腹胆嚢摘出術にて行われます。
胆嚢がんの可能性が極めて低い胆嚢ポリープの場合には腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い、胆嚢がんの可能性が高いと判断した場合、開腹での胆嚢摘出術を行います。そのため、腹腔鏡下にて手術を行っていても手術中に明らかにがんの可能性が高い浸潤などを認めた場合には、途中から開腹手術に切り替えるということもあります。
悪性であった場合には転移を起こしうる周囲のリンパ節(肝門部リンパ節)を同時に切除して、病変を取りきる手術を行います。

放置していれば、胆嚢ポリープはなくなる?

胆嚢ポリープの一種であるコレステロールポリープであった場合には、切除するなどの処置を行わなくても何かの拍子に胆嚢の内側から剥がれ落ち、胆汁と一緒に流されるなどして自然に消失するということもあります。

しかし、悪性であった場合には自然になくなるということはありません。むしろ、ポリープを残していることで周囲のリンパ節などにのって他の臓器に転移するということも考えられます。

そのため、ポリープがあるという診断を受けた場合には定期的な検診が必要となります。通常、5mm以下の胆嚢ポリープは1年ごと、6~10mmの胆嚢ポリープは6カ月ごとに超音波にて検査を行い経過を観察しますが、形やポリープのある部位によっては大きさに限らず検査の頻度も高くなることがあるため、医師の指示に従って検査を受けるようにしましょう。

おわりに:胆嚢ポリープの診断を受けたら定期的に経過観察を

胆嚢ポリープは良性のものと悪性のものがあります。良性か悪性かは検査ではわからず手術を行って細胞診をしなければ判明できません。しかし、胆嚢ポリープは見つけたら必ず手術をしなければならないというものではなく、大きさや大きくなるスピードも含め明らかに悪性である可能性が否定できない場合に手術を行います。胆嚢ポリープが見つかったら医師の指示に従って定期的に経過を見ていくようにしましょう。

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