直腸がんになるとどんな症状が出てくる？早期発見・治療が重要なの？

直腸がんとは

大腸は成人の場合1.5〜2mほどの長さで、お腹の中を時計回りにまわり、肛門へとつながります。この大腸は「結腸」と「直腸」の2つに分けられます。

結腸

1. 上行結腸
2. 横行結腸
3. 下行結腸
4. S状結腸
5. 盲腸

直腸

1. 上部直腸
2. 下部直腸
3. 直腸S状部

大腸の一部である「直腸」は肛門につながる器官であり、長さは15～20cm程で、便をためておくことができる部分です。そして直腸がんは、直腸にできた悪性腫瘍のことです。「腺腫（せんしゅ）」と呼ばれる良性のポリープががん化したがんと、正常な粘膜から直接発生するがんがあります。

このうち直腸の粘膜にできたがんは、腸壁に侵入します。その後、腸壁の外まで広がって腹腔内に散らばる場合や、腸壁中のリンパ液や血液に乗って体を巡り、リンパ節や肝臓などの別の臓器に転移する場合があります。

直腸がんの症状の特徴は？

直腸がんになると、血便など排便に伴う症状が出やすいです。以下に直腸がんの症状をまとめました。

排便に関する直腸がんの症状

1. 血便
2. 下血
3. 便秘
4. 下痢と便秘が繰り返される
5. 細い便しか出ない（便が細くなる）
6. 残便感
7. 排便がなくても頻繁に便意を感じる……等々

直腸がんが進行すると現れる症状

1. 腹痛
2. おなかが張る
3. 貧血
4. 立ちくらみ
5. 嘔吐
6. 体重減少……等々

直腸がんの怖いところは、症状がかなり進行するまで自覚症状が現れない場合があることです。また、血便や下血は直腸がんの症状として比較的出やすい症状ですが、これらの症状は痔でも出やすいため、検査に行かない人が多いことも直腸がんの発見を遅らせる原因となっています。

歳をとるほどに、直腸がんは発生しやすくなることがわかっています。特に直腸がんの患者の年齢を見ると、40歳以上の人が多い傾向にあります。

直腸がんは早期発見すれば治る可能性が高い！

直腸がんを含めた大腸がんは、早期発見ができれば80％以上の確率で治るといわれています。いつもとは違う症状や排便時に違和感が出た場合は、できるだけ早く大腸の検査を受けることをおすすめしたいです。

また、自覚症状がない状態でも、便潜血検査（便に血液が混ざっていないかを調べる検査）によって、大腸がんが発見されることもあります。便潜血検査で発見されるがんは、早期がんである場合が多いため、治る可能性が高いです。便潜血検査を実施している「大腸がん検診」が、重要な役割を果たしていることが分かるでしょう。

直腸がんを予防するには？

直腸がんを含めたがんを予防するためには、日頃の生活習慣の改善が大切です。

がん予防に効果的な生活習慣

1. 禁煙
2. 飲酒量の調節
3. バランスのとれた食事
4. 野菜や果物を多く食べる
5. 食物繊維の摂取
6. 暴飲暴食をやめる
7. 脂肪を摂りすぎない
8. 運動
9. 肥満や痩せすぎを改善する
10. 風邪などの感染予防

がん予防の中でも、直腸がんの予防として有効なのは「食物繊維の摂取」「運動」とされています。食物繊維の多い食品を積極的に取りながら、運動を毎日の習慣にすると良いでしょう。

おわりに：がん検診で早期発見を

がんの早期発見・早期治療のためには、定期的な検診は欠かせません。ほとんどの市町村が40歳以上の男女を対象に、大腸がん検診の費用を補助しているため、一部の自己負担で検診が受けられます。

大腸がん検診の内容は問診と便潜血検査です。便潜血検査のために、二日間ほど検便をします。大腸がん検診で「要精検」という結果が出た場合、精密検査で大腸内視鏡検査や注腸X線検査などを実施します。毎年定期検診を受けるのが一番ですが、下血などの症状が現れた場合は、定期検診日を待たずに、すみやかに消化器科などを受診してください。

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