子供によくみられる「ケトン性低血糖症」ってどんな病気?

2018/10/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

低血糖といえば、糖尿病の初期症状や食事習慣から大人が発症するものと想像されがちですが、発症者のほとんどが子供であるケトン性低血糖症というものもあります。
今回は「ケトン性低血糖症」について、その症状や小児糖尿病との違い、発症してしまった場合の診断・治療法について解説していきます。

男の子に多くみられるケトン性低血糖症とは

ケトン性低血糖症は、小児がストレスや体調不良、食欲不振をきっかけとして発症する低血糖症の一種です。特に、1歳半から10歳までの男児が多く発症することで知られます。
発症には、何らかの理由で食事を摂れず一時的な飢餓状態に陥った身体が、血糖コントロールのために肝臓でグリコーゲンを分解しようとする作用が関係しています。

小児の場合、肝臓の機能がまだ未熟なため、血糖コントロールのために肝臓で分解されるグリコーゲンの蓄えもそう多くはありません。このため、分解するグリコーゲンがなくなると低血糖状態を起こしてしまうのです。

発症時の尿検査で、グリコーゲン分解時に生成されるケトン体が多量に検出されることから、ケトン性低血糖症と呼ばれています。
症状としては、空腹時の吐き気頻回の嘔吐痙攣疲労感倦怠感顔面蒼白などが現れます。

小児糖尿病との違いは?

一般的な小児糖尿病がインスリンの分泌・作用異常で起こるのに対し、ケトン性低血糖症の発症にはインスリンの関与はありません。また、通常時の血糖値にも異常が見られる小児糖尿病に対し、ケトン性低血糖症では症状が出ていないときの血糖に異常が出ないのも、大きな違いといえるでしょう。

ケトン性低血糖症の診断・治療法は?

ケトン性低血糖症の診断は、以下の条件を満たした場合に確定されます。

ケトン性低血糖症の診断基準

  • 吐き気や嘔吐、ふるえ、疲労感など低血糖が疑われる症状が出ていること
  • 尿検査で多量のケトン(アセトン)が検出されていること
  • 総合的に考えて、中枢神経系疾患や先天性代謝異常などの疑いが低いこと
  • 12~18時間の絶食検査を行った結果、低血糖が出現した場合

治療

ケトン性低血糖症の治療についてですが、症状が軽度なら経口で糖分と水分を与えて安静・睡眠を取らせ、回復を待つことになります。
ただし、重症であれば点滴または静脈注射でブドウ糖の輸液をして症状の回復を待ちます。

ケトン性低血糖症は、成長して肝機能が成熟するのとともに症状が出にくくなり、10歳前後を目安に自然治癒することの多い疾患です。しかし小児の間は、ストレスからできるだけ遠ざけたり、食事を糖質が多く脂質が少ないものに変えるなどして、発症予防に努めてあげてください。

おわりに:ケトン性低血糖症は、小児に起こる非インスリン性の低血糖

ストレスやエネルギー不足がきっかけで発症するケトン性低血糖症は、血糖をコントロールしようとする肝臓の働きによって引きこされます。小児、特に10歳未満の男児に発症しやすいと言われ、インスリンの働きと関係しないところが小児糖尿病との大きな違いです。尿検査と12~18時間の絶食で診断され、糖質と水分の補給と安静で治療します。発症を繰り返さないよう、小児のうちは十分気を付けて診てあげましょう。

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