食道がんの進行速度は速いって本当?初期の段階で気づく方法はある?

2018/12/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食道がんはかつて、進行が早い、予後が悪いといわれていました。しかし、最近は治療法が進歩したおかげで状況が改善しつつあります。しかし、予後をよくするためには早期発見・治療が大事なことは言うまでもありません。この記事では、食道がんの症状の特徴や予防法を紹介します。

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食道がんの進行速度は速いって本当?

食道がんは、食道にできるがんです。食道は喉の奥から胃へつながる管で、口から入った食べ物をぜん動運動によって胃に送り込んでいます。食道がんは、他のがんに比べると進行が速いとされ、発見されたときにはある程度進行していることがあります。気管や気管支、心臓など、胸にある重要な器官が近くにあり、がんが進行するとこれらの臓器にも広がっていきます

また、体の中には、血管のほかにリンパ管と呼ばれる管があり、その中を流れているのがリンパ(リンパ液)です。リンパは、血液とは別にタンパク質や白血球などを運びます。食道はリンパの流れが豊富なため、がん細胞がこの流れにのって体のあちこちに広がっていくことができます。つまり、全身のあちこちの臓器に転移をする可能性があるのです。

過去には、その進行の速さや転移の可能性などから、食道がんは予後が悪いがんと言われていました。しかし、治療法の発展にともなって改善がみられています。ちなみに、食道がんの治療は手術のほかに、放射線治療や抗がん剤を用いた化学療法があります。

食道がんから身を守るには違和感に気づくことが大事!

食道は、食べ物が必ず通過する臓器です。そのため、何らかの異常が生じると、食事の際に違和感が生じます。食べたときにつっかえるような感じがする、のどのあたりが痛む、特に胃腸不良は感じないのに吐くの3つが主な特徴です。また、すでに、他の臓器にも影響を与えていると、咳や血の混ざった痰が出たり、声がかすれるといった症状がみられることもあります。そして、全身のだるさや急激な体重減少など全身症状もみられます。

しかし、いずれも、自覚症状が現れたときには、すでにがんが進行している恐れがあります。食道がんは、予後が良くなったとはいえ早期に発見することが大切です。小さな違和感を感じたときは耳鼻咽喉科を受診しましょう。

特に以下の要因は、食道がんのリスクを高めるとされています。

  • 60歳以上の男性
  • タバコを吸う
  • 継続した飲酒習慣がある
  • 過去に喉頭がんや咽頭がんといった喉周辺のがんにかかったことがある
  • 食道がんや、喉頭がん、咽頭がんなどのがんにかかった家族がいる

条件が当てはまるという人は、定期的に健診を受けるよう心がけましょう。

食道がんを予防するためにできることは?

食道がんに限らず、日本人のがんのリスクを高めている要因として「喫煙」「飲酒」「食事」「身体活動」「適正体型」「感染」の6項目が挙げられています。感染以外の項目は食道がんを予防するためのヒントにもなります。

喫煙
たばこは、多くのがんの原因と関わっています。吸っている本人だけではなく、たばこを吸っていない周囲の人にも影響を与えることがわかっています。できるだけ早く禁煙しましょう。
飲酒
多量の飲酒はがんのリスクを高めることがわかっています。1日の上限は、日本酒で1合、633mlのビール大瓶で1本程度とされています。また、お酒に弱い人は無理に飲まないようにしましょう。
食生活
減塩を心がけ、野菜と果物を食べましょう。また、熱い飲み物や食べ物は食道がんのリスクが高まる可能性があります。少し冷ましてから飲みましょう。
身体活動
適度な運動ががんの発生リスクを低下させることがわかっています。ウォーキングであれば1日60分程度が目安です。また、汗をしっかりかく運動は1週間に60分程度とされています。
適正体型
肥満度の指標であるBMIが、男性では21.0〜26.9、女性では21.0〜24.9で死亡リスクが低いとされています。太り過ぎだけではなく、痩せ過ぎていることもリスクになるようです。
  • BMI=体重kg ÷(身長m×身長m)

適正体重は、上記の計算式で算出できます。また、最近の体重計では、あらかじめ設定をすれば体重測定のたびに自動で算出してくれる機種もあります。適正な体重維持に活用してみましょう。

おわりに:食道がんは進行しやすい。早期発見に努めましょう

食道がんは、他のがんに比べると進行が速く、周辺の臓器だけではなく、全身にも影響を与えやすいがんでもあります。自覚症状が少ないため、リスク要因に気をつけて予防を心がけ、定期的な健診を受けることが大切です。また、ちょっとした違和感を感じたときに受診し早期発見することも大切です。

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