子供のコレステロール値はいくつだと危険?子供も脂質異常症になることがある!?

2018/12/13

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脂質異常症や高コレステロール血症というと大人の病気と思いがちですが、子供も脂質異常の病気になることはあり、またコレステロールにも基準値が設けられています。詳しくは以降で解説します。

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子供も脂質異常症になる!?

脂質異常症とは、血中の悪玉コレステロールやトリグリセライドなどの脂質が一定の基準よりも多い状態のことです。動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こすリスクがあります。

この脂質異常症の原因として、食生活の乱れや運動不足を思い浮かべる方が多く、実際、大人に限らず子供でも、脂っこい食事ばかり摂っていると脂質異常症になることがあります。ただ子供の場合は、生活習慣の問題というより、遺伝による脂質異常症の割合も高い傾向にあります。これは、「家族性高コレステロール血症」と呼ばれる疾患です。

家族性高コレステロール血症とは

遺伝的にコレステロールが高くなる病気です。「LDL」というリポタンパク(コレステロールや脂質がタンパク質と結合したもの)を肝臓で取り込む受容体に関係する遺伝子に異常があるため、LDL(悪玉)コレステロールが血液中で高くなったことで発症します。

この家族性高コレステロール血症は、軽症型と重症型に分けられます。軽症型は、LDLを肝臓で取り込む受容体の遺伝子のうち1つに異常があるタイプで、「ヘテロ接合体」と呼ばれます。一方、この遺伝子のうち2つに異常がみられるのが重症型で、「ホモ接合体」と呼ばれます。もう少し簡単にいうと、両親のいずれかから遺伝した場合は「ヘテロ接合体」、両親のどちらもから遺伝した場合は「ホモ接合体」になります(子供への遺伝確率は前者が1/2、後者が1/4といわれています)。

子供のコレステロール値、いくつだと危険?

子供の場合、未治療のLDLコレステロールの数値が140mg/dL以上であることが、家族性高コレステロール血症の診断基準のひとつになります。また上記の数値に加え、皮膚やアキレス腱、まぶたなどに黄色腫(黄色いイボのような塊)がみられたり、2親等以内の家族にLDLコレステロールが180mg/dL以上の人がいる、あるいは若くして(男性は55歳以下、女性は65歳以下)冠動脈疾患と診断されている人がいる場合は、家族性高コレステロール血症の可能性があります。

子供のコレステロール値が高い原因はほかにも

生活習慣や家族性高コレステロール血症の要因以外にも、甲状腺機能低下症やクッシング症候群、成長ホルモン分泌不全症などの内分泌疾患、あるいはネフローゼ症候群に合併してコレステロールに異常値が出ている可能性もあります。

おわりに:子供も脂質異常症になる。健診の結果表をちゃんとチェックしよう

脂質異常症は子供でも発症することがあり、特に生活習慣が乱れていなくても、両親のどちらかが遺伝因子を持っていると、それを子供が受け継いでしまう可能性があります。子供の健康診断の結果表で、コレステロール値が基準を超えていた場合は、早めに専門の医療機関で詳しい検査を受けるようにしましょう。

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