中性脂肪を減らすために心がけたい食事のポイントとおすすめレシピ

2023/12/27

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

健康診断で指摘される「中性脂肪」は生活習慣病の原因にもなるため、早めに対策をとりたいものですよね。しかし、中性脂肪を減らすために、具体的にどのような対策をすればいいか、悩んでいる人もいると思います。この記事では、中性脂肪と食事の関係性と食事の面でできる中性脂肪対策について解説していきます。中性脂肪対策として取り入れたいレシピもご紹介するので、参考にしてください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

中性脂肪と食事の関係性

中性脂肪の増加と食事には、深い関係があります。食事で摂取する糖質や脂質は、体を動かすエネルギー源として体内で消費されますが、消費しきれなかった分は中性脂肪に姿を変え、蓄えられていきます。たんぱく質も余った分は糖質に変えられ、やがては中性脂肪となります。つまり、糖質、脂質、たんぱく質の摂り過ぎは中性脂肪の増加を招きます。

また、アルコールと肝臓も中性脂肪に関係しています。肝臓は、エネルギー・たんぱく質・糖質の代謝を司り、脂肪を分解する分泌液である胆汁を作っています。しかし、アルコールを摂取すると、肝臓はアルコールの解毒を優先してしまいます。お酒の飲み過ぎは、肝臓の代謝機能に影響を与え、中性脂肪の増加にも関係してきます。中性脂肪脂肪が増加すると、以下のようなデメリットが生じることになります。

  • 血液がドロドロの状態になる
  • 血中の悪玉コレステロールが増加する
  • 脂質異常症や動脈硬化のリスクが高まる

中性脂肪を減らすために食事で気をつけるポイントは?

中性脂肪を減らすため、食事をするときには以下のポイントに気をつけましょう。

適正なカロリーに抑える

摂取するカロリーが消費するカロリーを上回ると、中性脂肪は増えていきます。性別、年齢、運動量によって1日に必要な摂取カロリー量(推定エネルギー必要量)は異なります。以下に30~49歳の男女で身体活動レベルが普通の人が必要とするエネルギー摂取量を例に挙げましたので、参考にしてください。

30~49歳男性の推定エネルギー必要量

自宅にいてほとんど外出しない男性
2300kcl
自立している一般的な活動量の男性
2700kcal
活動量が多い男性
3050kcal

30~49歳女性の推定エネルギー必要量

自宅にいてほとんど外出しない女性
1750lcal
自立している一般的な活動量の女性
2050kcal
活動量が多い女性
2350kcal

厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

脂質と糖質を控える

脂質と糖質は、摂り過ぎると中性脂肪に変化しやすいです。以下の食べもの・飲みものには、とくに気をつけるようにしてください。

脂質の多い食品
揚げ物、炒め物、ドレッシング、脂身の多い肉類、バター・生クリームなどを多く含む菓子類 など
糖質の多い食品
砂糖、フルーツに含まれる果糖、糖類の多いアルコール飲料・菓子類 など

野菜をたっぷり食べる

野菜にはビタミン類、ミネラル類、食物繊維が豊富に含まれています。ビタミン類やミネラル類は脂質の代謝を助け、食物繊維は腸内にある脂肪や糖質を体外に排泄する働きを持ちます。野菜の1日の摂取量の目安は350gといわれていますので、積極的に摂るようにしてください。

肉より魚を選ぶ

サバ、サンマ、イワシなどの青魚に含まれるEPAやDHAには血液をサラサラにする作用があり、イカ、タコ、エビに含まれるタウリンは肝臓の働きを助ける作用があります。

夜遅くの食事は避ける

夜遅くの食事は、脂肪が増える原因になります。体内リズムの乱れにもつながりますので、なるべく早い時間に済ませるようにしましょう。

中性脂肪を減らすために役立つレシピ

DHAとEPAが豊富な「サケとレンコンのさっぱりポン酢蒸し」

材料(1人分)

  • サケ水煮缶 1缶(180g)
  • レンコン 50g
  • エリンギ 1/2本
  • ポン酢しょうゆ 小さじ1

作り方

  1. 洗って皮をむいたレンコンを5mm幅の輪切りにする。
  2. エリンギを縦に裂き、横半分に切る。
  3. 耐熱皿にアルミホイルを敷き、缶から取り出したサケを乗せる。その上にレンコンとエリンギを重ね、缶に残った汁を上からかける。
  4. 具材をアルミホイルでくるむようにしてしっかりと閉じる。220℃に余熱したオーブンで20分焼く。
  5. レンコンに火が通ったら、器に盛りつけてポン酢しょうゆをかけて完成。

野菜たっぷり「なすとミニトマトのオムレツ」

材料(1人分)

  • 卵 M1個
  • 牛乳 大さじ1
  • 塩 5g
  • なす 50g
  • ミニトマト 2個
  • 玉ねぎ 30g
  • にんにく 1/3かけ
  • オリーブオイル 小さじ1
  • ケチャップ 大さじ1/2

作り方

  1. なすは半月切りにしてから塩を振り、もんでから5分程おく。出てきた水分は絞りだしておく。
  2. ヘタを取ったミニトマトを半分に切る。玉ねぎは1cm角に切る。ニンニクはみじん切りにする。
  3. ボウルに卵を割り、牛乳を加えて混ぜ、卵液をつくる。
  4. 熱したフライパンにオリーブオイルをひき、にんにくと玉ねぎを加える。玉ねぎがしんなりしてきたら、なすを加えて炒める。
  5. なすの色が変わったら、卵液を全体にかかるように注ぎ入れる。
  6. ミニトマトを散らし、弱火にして蓋をして蒸し焼きにする。
  7. 卵液に十分に火が通ったらお皿に盛り付け、お好みでケチャップをかけて完成。

旬の野菜でアレンジ可能「ニンジンとセロリのピクルス」

材料(2人分)

  • ニンジン 1/3本
  • セロリ 1/2本
  • 水 大さじ3
  • 穀物酢 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1/2
  • 塩 ひとつまみ
  • ローリエ 1枚

作り方

  1. ニンジン、筋を取ったセロリを4cm程の短冊切りにする。根菜類はさっと湯通しするとよい。
  2. ピクルス液をつくる。鍋に水、穀物酢、砂糖、塩、ローリエを入れ、煮立てる。
  3. 野菜をピクルス液につけ、味がなじんだら完成。

おわりに:食品が含む栄養素を理解しながら、食生活を改善しましょう

中性脂肪を減らすためには、運動習慣など生活習慣全体を見直すことが大切ですが、食生活の見直しが大きなポイントになります。栄養のバランスが整った規則正しい食事を心がけたうえで、摂取カロリー量や脂質・糖質・アルコールの摂取量をコントロールし、代謝や排出を助ける食材を取り入れるようにしましょう。

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